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ChatGPTなどの生成AIを活用し、自社プロダクトやサービスを拡張する動きが多くの企業でみられるようになっている。一方、社員のChatGPT利用に制限をかけている企業は少なくない。そんな中、マッキンゼーやウォルマートなど、社員の生成AI利用を積極的に推し進める企業が登場し、その取り組みに注目が集まっている。各企業ではどのような対応を進めているのか、最新動向を探ってみたい。
社員のChatGPT利用を禁止・制限する大手企業
米国や欧州では、社員のChatGPT利用に関して、禁止する企業、許可する企業、その対応はさまざまだ。一方、生成AI技術に対する関心は高く、自社で開発に乗り出すケースも増えている。
HR Brewがまとめた
大手企業ChatGPT利用動向(5月20日)によると、アップルは機密情報の漏えいを防ぐために社員のChatGPT利用を制限、現在自社で生成AIツールの開発を進めているという。
米金融大手JPモルガン・チェースも社員のChatGPT利用に制限をかけつつも、将来的に業務に生成AIを組み込む方針だ。同行の広報担当ジェニファー・ラヴォワ氏は、HR Brewの取材で、同行が社員のChatGPT利用を制限していることを明らかにしたが、2022年株主報告書におけるジェイミー・ダイモンCEOの発言に言及し、将来的に社内で生成AIを活用する方針であると述べている。
また、ウォール・ストリート・ジャーナルは、アマゾン広報担当者の話として、アマゾンは社内のエンジニアに対し、コーディングのヘルプとしてChatGPTを使用する代わりに、内部のCodeWhispererと呼ばれる生成AIにクエリを送るよう指示していると報道。一方、この報道に対し、アマゾンのシニアPRマネージャー、アダム・モンゴメリー氏はHR Brewの取材で、ChatGPTやその他の生成AIツールの使用を禁止したり、エンジニアにChatGPTでなく自社ツールを使用するよう求めることはしていないと発言している。
一方、通信大手ベライゾンは、顧客情報やソースコードなどの漏えいリスクを避けるため、同社システムからChatGPTへのアクセスを遮断。防衛・航空宇宙企業ノースロップ・グラマンもウォール・ストリート・ジャーナルに対し、同社では安全性が検証されるまでChatGPTをブロックする方針であると述べている。
生成AIツールは今後「Excel化」する
有名な大企業がデータ漏えいリスクなどの懸念から、社員のChatGPT利用を禁止しているとの報道が多いことから、米国企業の大多数は社員のChatGPT利用を禁止しているかの印象を受けるが、データはそれとは反対の状況を映し出している。
ResumeBuilder.comが4月に米国経営者1187人を対象に実施した
調査では、92%が現在採用活動を行っており、このうち91%がChatGPT経験を持つ人材を求めていることが明らかになったのだ。
この調査結果を受け、Resume Builderの最高キャリアアドバイザーであるステイシー・ハラー氏は、生成AIツールの普及と一部の企業による積極的な受け入れを考慮すると、ChatGPTはまもなく資格対象のスキルになる可能性があると指摘。現在、一部の企業でExcelのテストが実施されているように、ChatGPTなどの生成AIツールも同様にテスト対象になる可能性があるという。
ただし現在のところ、企業におけるChatGPT利用は試験段階であり、どの部門でどのように活用すれば生産性を向上できるのか、試行錯誤が進められている状況だ。
同調査では、部門別のChatGPTスキル需要も判明。ソフトウェアエンジニアリングが58%、カスタマーサービスが33%、人事が32%、マーケティングが31%、データ入力が28%、そしてセールスとファイナンスがそれぞれ23%だった。
【次ページ】マッキンゼーで半数の社員がChatGPTを活用する「4つのC」
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