- 2006/07/20 掲載
【M&Aレポート】アビームコンサル 代表取締役 岡俊子氏「M&Aは一定の成果を収めるようになってきた」
実施3年後の収益力は34.8%上昇、企業価値は16.1%の増加
<調査結果サマリー>
●M&A実施3年後の企業価値(時価総額+有利子負債)は16.1%上昇
●EBITDA(税引・利払・償却前利益:営業利益+減価償却費)は34.8%上昇。収益力が大きく向上
●売上高は、実施後1年後に2.8%、3年後でも4.4%と微増にとどまる
●ストラテジックバイヤー(事業運営、シナジー目的)によるM&Aは、フィナンシャルバイヤー(純投資目的)よりも企業価値を増加させる
●OUT-IN型(外国企業が投資元)のM&Aは、IN-IN型(日本企業同士)よりも企業価値を増加させる
アビームM&Aコンサルティングは、1996年から2005年に実施された、日本のM&A案件の投資先となった上場企業を対象に、M&A実施後の企業価値推移を定量的に分析したレポート「M&Aによる企業価値の創造」を発表した。
その結果、売上面では大きな影響が見られなかったものの、実施3年後のEBITDAは34.8%も上昇し、企業価値は16.1%増加したことがわった。
アビームM&Aコンサルティング 代表取締役 岡俊子氏は次のようにコメントしている。
「M&Aについては、感覚的に成功や失敗を評価するのではなく、その効果を定量的に測定し、客観的に成否を見定める必要がある。本件調査において、M&A実施3年後で収益力は大きく改善し、結果として企業価値は16.1%増加していることが分かった。未だ改善の余地は残されているものの、M&Aが一定の成功を収めるようになってきていることが伺える。特に、M&A後に合理化施策を地道に実施している企業が収益性を高め、企業価値を増加させている」
立教大学教授で、元三菱経済研究所研究部長 前田文彬氏も 、「M&Aは企業価値を向上させる」との論文を当サイトで発表している。
M&Aの目的は、企業価値を高めるために、複数の企業・事業を融合させることで、販売、生産、技術面におけるシナジーを創出し、企業戦略を実現させることにある。過去10年、業界再編など同業種間でのM&Aや、再生・再建型のM&A、自動車業界をはじめとする外国企業による日本企業への資本参加など、日本のM&Aは年々増加、2005年には2,725件(調査元:レコフ)も実施された。
このような状況において、M&Aの成否を評価するさまざまな調査が実施されているものの、M&Aの効果を定量的に検証した調査研究はこれまであまり実施されていなかった。
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