- 2006/07/14 掲載
【運用管理ソフトウェア市場レポート】日立、富士通、NEC3社の寡占化進む
【業務効率】
●2005年の運用管理ソフトウェア市場は、ITILや情報漏洩対策、セキュリティへの高い関心が牽引役となり、2,111億円(前年比8.9%増)
●今後は日本版SOX法の施行を視野に、監視ソリューションの多様化が進む
●シェアでは、日立、富士通、NEC3社による寡占化が鮮明に
IDC Japanは、2005年における運用管理ソフトウェア市場規模実績を発表した。調査結果によると、2005年の運用管理ソフトウェアの市場規模は、2,111億円(前年比8.9%増)だったという。前年に比べ成長率は減速したものの、市場は堅調に推移している。
2005年は国際的な運用標準となったITILや情報漏洩対策、セキュリティといった要因がユーザーのIT投資を刺激し、大企業で運用管理体制全体を見直す動きが強まった。そのため、ITILのコアコンポーネントだけでなく、日常業務支援的なジョブ管理ツールや、イベント管理、パフォーマンス管理ツールなど、全体的に販売は好調に推移した。
しかし、稼働環境別でみると、WindowsやLinuxなど安価なプラットフォームが高い伸びを示す一方、市場全体の3割強を占めるUNIX市場が予測より急速な減速傾向を示した。要因として、ユーザーの運用管理ソフトウェアに対する投資意欲は依然として高いものの、プラットフォームが安価なものへとシフトしているために、成長率の鈍化傾向が強まったとみている。
今後、日本版SOX法施行を視野に入れたITベンダーによる新製品の投入が予想され、製品の一層の多様化が進むと共に、市場は拡大傾向を継続する。CMDB、コンプライアンス、プロセス管理、リリース管理、ITコスト配分や使用量の計測を行うソフトウェアなど、商材の増加や管理対象の拡大による売上増が見込まれる反面、開発費や販売管理費の負担増がベンダーを圧迫する。

「大企業における物理リソース管理ツールの普及率はすでに高く、ITベンダーにとっては厳しい市場環境になっている。その一方で、ユーザーのITシステムの現状はさまざまなベンダー製ツールが特定用途ごとに乱立し、運用管理負担の問題がますます顕在化している。運用管理ベンダーが今後も継続的な成長を遂げるには、多様なラインナップをタイムリーに品揃えする企業体力と、ソフトウェア同士の連携や接続性を図りながら、ユーザーのITシステムをより経営的でライフサイクルを意識したものに誘導することが重要になる」
ベンダー別シェアでは、国産系上位3社による寡占化がより鮮明になっている。第1位は、「JP1」を擁する日立製作所。販売パートナーによる好調な売上活動に加え、主力のジョブ管理ツールが全体の売上を牽引している。第2位は「Systemwalker」を擁する富士通、第3位は「WebSAM」を擁するNECとなった。一方、高い伸びを示したのは、IBM、HP、NRIだった。
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