- 2006/07/13 掲載
デンソーが「リアルタイム地震防災システム」を導入
沖電気工業は、このたび緊急地震速報を活用した「リアルタイム地震防災システム」をデンソー幸田製作所から受注した。このシステムは気象庁の緊急地震速報と、P波地震計により地震の初期微動(P波)を感知し、主要な揺れ(S波)が来る前にアラームを発報するとともに、危険なガスや薬品の供給遮断や、セキュリティシステムの開錠などを自動制御で行い、未然に人的被害や二次災害を防ぐもの。デンソーへのシステムの施工、管理は沖電気の関連会社である沖環境テクノロジーを通じて行う。なおシステムの稼動は2007年1月頃を予定している。
デンソー幸田製作所の半導体生産ラインではさまざまな危機管理対策に取り組んでいる。2006年には建物免震を取り入れた新工場を竣工、そして今回「リアルタイム地震防災システム」を導入することでさらなる地震対策強化を図る。
緊急地震速報は、平成16年2月から気象庁により試験運用が開始され、8月1日から正式運用の予定である。全国的に整備された地震観測網によって、地震発生時、震源地付近で検知されたP波の初動データを使って求めた震源情報「緊急地震速報」を瞬時に各所に伝送する。緊急地震速報の配信により、遅れてくるS波の到達を事前に知らせることで警戒効果を狙うものである。震源地との距離にもよるが、P波発生検知からS波到達までの時間差は数秒から数十秒あり、地震災害の大半はこのS波到達以降に集中するといわれている。このため、この緊急地震速報によって、地震災害による死傷者は大幅に軽減されると期待されている。
駿河湾の海底には駿河トラフと呼ばれる海溝があり、近い将来大規模な地震の発生が懸念されている。東海・東南海を震源地とする震度5弱以上の地震を想定した場合、主要動S波がデンソー幸田製作所工場に到達するまで、約30数秒かかると試算されている。地震発生から緊急地震速報を受信し、なおかつ現地地震計がP波を検知するまでの所要時間は15秒前後であり、猶予時間は15秒ある。「15秒後に地震が来ます」という情報を揺れる前に知ることにより、地震被害を最小限に留める効果が見込める。
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