- 2006/07/10 掲載
【CIO調査レポート】IDC Japan 中尾 晃政氏「企業はビジネス強化のためにITを活用」
【IT戦略、マネジメント】国内CIO調査結果を発表
●「コスト削減」を最優先の経営課題に挙げる企業の割合は約40%
●IT課題では、「技術革新・変化への対応」が最優先の課題となる
●大企業におけるベンダー選択基準は、「提案力」の重要性が高まっている
IDC Japanは、今年4月、国内企業836社を対象に実施したCIO調査の結果を発表した。これによると、ユーザー企業が最も優先する経営課題とIT課題は、それぞれ「コスト削減」38.3%、「技術革新・変化への対応」23.4%となった。

昨年(2005年3月)に実施した調査結果と比較すると、「財務体質の改善」「業務プロセスの改善」が順位を上げたほか、ランク外であった「生産性の向上」や経営課題の対象項目として挙げられていなかった「人材確保」が新たに上位10項目に入った。(表1)

国内経済は、回復から成長へと向かい、企業業績の回復も見られる。そうした経済環境においても、「コスト削減」を最優先とする経営課題に挙げる企業の割合は高くなった。この背景には、企業間競争の激化や、原油高、円高、金利上昇懸念等、企業を取巻く外的要因の影響を最小限に抑え、業績の継続的な成長を維持したい企業の強い意思があると考えられる。
ユーザー企業のIT課題では、「技術革新・変化への対応」に対する優先度が最も高くなった。日々進化する新しいIT技術をどのように事業強化や新規事業に取り込んでいくかが最重要テーマになっている。また、大企業では、巨大化、複雑化している情報システムをどのようにスリム化し、運用・管理コストを削減していくかが引き続き大きな課題となっている。また、IT企画・戦略を担う人材の不足感も一部の大企業を除いて高まっている。

こうした経営・IT課題解決に向けて、ユーザー企業がベンダーを選択する基準では、「提案力」の重要性が増している。従業員規模が大きい企業では、規模が小さい企業に比べて、ベンダーの「提案力」を求める声はさらに高くなっている。こうしたことから、コストの削減など、企業活動におけるビジネスの基盤強化に対する継続的な取り組みと、新たな技術の活用と企業経営の戦略に連動したIT戦略策定の支援では、ベンダーの提案力の強化が重要になっていると言える。
IDC Japan ITサービス リサーチアナリスト 中尾 晃政氏は、「ユーザー企業では、ビジネスの強化に向けたITのさらなる活用が求められている。ITサービスベンダーは、自社の収益性を高めるために効率的なサービス提供の仕組みを整えると共に、戦略的なアドバイスや協働する関係の構築が益々重要になってきている」と分析している。
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