- 2006/07/03 掲載
【インタビュー】拡大するホスティング事業の新しい役割 野村総合研究所 横井正紀氏
【HOSTING-PRO 2006 Summer】特別インタビュー①
株式会社 野村総合研究所
横井正紀氏
情報通信分野における技術動向分析と事業化支援、ならびに事業戦略立案に関するリサーチ&コンサルティングに従事。専門はネットワーク技術、ITアウトソーシングビジネス、防災および災害時のIT基盤など。上級コンサルタント。
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──データセンターやホスティング事業では最近のどのような動きがあるでしょうか?
データセンター市場が上向きに転じてきているのはご存じかと思います。しかし、お客様の要求はだんだん厳しくなってきており、ハードウエアのコロケーションからアプリケーションやそれを構成する機器までを含めたホスティングに、ニーズの中心がシフトしてきています。よって、データセンター事業者も、運用監視レベルをアプリケーションまで拡張するために、マイクロソフトやオラクル、SAPなどのアプリケーションを扱える技術者を増やしている傾向にあります。
ある事業者では、お客様の本来のニーズに対して、半分程度しか対応できていないといいます。それはなぜかといいうと、現場のスキル不足、技術者が足りない状況になっているからです。現状は、自社で可能なサービスレベルを維持した代替提案をお客様にして運用をしている状況にあるようです。
一方、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)についてもお客様側での検討が進んできており、ニーズが顕在化しています。これは、顧客の事業プロセスの一部を外部の事業者が担うわけで、責任は重大です。これまでもお客様の事業に直結してきたデータセンター事業ですが、お客様の事業継続性視点から見て、その期待役割が高まってきています。
──2009年に施行が予定されているSOX法によってどのような影響があるのでしょうか?
「SOX法対応」という表現を耳にすることがありますが、現状、日本で施行される内容の詳細がわからないため、「対応できる」という表現は些か疑問が残ります。しかし、日本の場合は何もないところから対応が求められた米国とは異なり、個人情報保護法をはじめとしたセキュリティ対策を広範囲に実施している企業が少なくはありません。よって、すでにセキュリティやコンプライアンス対策を十分にしている企業では、不足しているところを補うところから始まることになるのが現実解でしょう。米国の場合は、ゼロからのスタートでしたので、そこが米国との対応の違いになると認識しています。
内部統制というと、財務に注目があつまりますが、リスクマネジメントの視点も含めた検討をしていくと、事業継続性も重要な視点の一つになってきます。ディザスタリカバリへの投資傾向が上向いてきているのも、その傾向が現れていると考えられます。
──ディザスタリカバリへの動きはいつからでしょうか?
今年あたりから活発になってきているように思います。不良債権問題や年金問題が一段落し、景気が幾分良くなってきたことも新たな投資意欲に影響を及ぼしています。また、昨今日本列島各地で発生した地震や台風などの自然災害をはじめ、大手ネット企業に対するサーバ攻撃(サイバーテロ)や偽造キャッシュカードの問題なども、企業に事業継続性の視点からの議論を巻き起こしたと思われます。
ディザスタリカバリで課題となるのは、RPO(Recovery Point Objective)とRTO(Recovery Time Objective)のクライテリア設定と、それを保障するインフラストラクチャです。RPOとRTOに対するお客様の要求水準は厳しくなってきており、データセンター事業者には、お客様のトランザクションをリモートサイトへ迅速にフェイルオーバーすることによって事業を継続させるシステムと体制が求められてきます。
事業の中身によっては、日本国外にバックアップサイトを求める事業者もでてきました。特に東アジア地域への事業に積極的な企業は、このような地域を鑑みながらディザスタリカバリの地域を検討しています。中国へのBPOも検討する企業も、従来に比べると明らかに増えてきました。大連などは日本語が扱える人材が豊富にそろっている地域の一つです。大連市は日本からのアウトソーシング需要を巻き取る方向性を打ち出しており、運用面での中国シフトが今後徐々に進むかもしれません。
──企業のアウトソースに特徴的な動きはありますか?
先ほども申し上げましたが、お客様の要求水準が厳しくなってきていることです。事業者は、ワンコールオールサービスの体制に加えて、障害対応への力量が問われる時代になってきたといえるでしょう。すなわち、ネットワークからアプリケーションまでに対応できる広く深い技術力が求められていると考えられます。よって、データセンター事業は従来のネットワークトラフィックの運用監視よりも付加価値が高いサービスになってきています。事業継続性に対するサービスも、付加価値の高いサービスとして位置づけられるでしょう。
データセンター事業をはじめとするアウトソーシング事業者は、お客様から見て内部統制の範ちゅうに入ります。すなわち、事業者はお客様の内部統制から見て信頼が置ける事業体である必要があります。多くのアウトソーシング事業者は、ISMSやBS7755などの認証を既に取得していますが、先行している米国では、PCAOBが内部統制の有効性を証明するための1つの方法として、暫定監査基準(Amendment to Interim Auditing Standards: AU SEC)324条で2種類の報告書を、アウトソーシング事業者が作成することを制度化しています。日本の内部統制の法制度化を前に、アウトソーシング事業者は、お客様の内部統制環境に対しても対応できる、新たな付加価値サービスについて検討をはじめる必要があると考えられます。
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会 期 | 2006年7月6日(木) 10:00~17:30 |
会 場 | 青山TEPIA 〒107-0061 東京都港区北青山2丁目8番44号 最寄り駅:東京メトロ「外苑前駅」神宮球場側3番出口・徒歩5分 (神宮球場となり) (会場へのアクセスは、こちらをご覧ください) |
入場料 | 2,000円(税込) ※事前登録を頂いた方は、無料。 |
主 催 | HOSTING-PRO実行委員会 |
後 援 | 社団法人 日本インターネットプロバイダー協会 |
協 賛 | NPO 日本ネットワークセキュリティ協会 モバイル・コンテンツ・フォーラム |
企画・運営 | 日本イージェイケイ株式会社 | 特別協力 | RentalServer.org |
予定来場者 | 延べ1,000名 |
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