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  • 2023/04/24 掲載

なぜ日本では「名ばかりCFO」が多い?元デュポンCFOが提言する「脱経理屋さん」組織論

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企業・組織内で特定の職務を担当する役員である「CxO」の中でも、CFO(最高財務責任者)は、経理・財務業務を中心に財務情報の透明性と内部統制の向上を担ってきた。最近では、企業価値の最大化や財務情報を含む経営全般に関する情報の透明性やERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント)の向上に貢献するなど、その役割の重要性は増している。一方、元デュポンCFOで、東京都立大学大学院 特任教授をつとめる橋本勝則氏は「日本企業では名ばかりのCFO、いわゆる“経理屋さん”が多い」と厳しく指摘する。なぜ日本ではCFOがなかなか育たないのか。企業価値向上のためのCFO組織の役割などについて橋本氏が提言した。
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DX時代のCFOの役割とはいかなるものか?(詳細は後ほど解説します)

なぜ日本には「名ばかりCFO」や「経理屋さん」が多いのか?

 東京都立大学大学院 経営学研究科 特任教授である橋本勝則氏は、米国の老舗化学メーカーであるデュポンのCFO(最高財務責任者)としてグループガバナンスのかじ取りを担った経歴を持つ。

 「ワークフロー/経費精算 2023」に登壇した同氏は「財務・経理部門には企業会計・経理をまとめるコントローラー、資金の調達・運用を担うトレジャラーなどが所属している。CFOはその上位の職務として、CEOに次ぐNo.2としての役割がある」と説明する。

「CFOは、長期的な会社の方向性と短期的な業績予想に対する責任、事業ポートフォリオマネジメントによる事業買収・売却・提携の判断など、全社的な舵取りの責任を負っている」(橋本氏)

 ただ、橋本氏は「日本企業では、名ばかりのCFO、いわゆる“経理屋さん”が多い」と厳しく指摘。その理由について「今、その職に就いている人たちの責任ではない。歴史的な背景や日本固有の理由が存在する」と語る。

 具体的な理由の1つとして挙げたのが、企業業績の評価に対する優しい、言い方を変えると甘いマーケットの存在だ。たとえば、赤字としていた業績予想が、実際は黒字になった場合であっても、米国ではその見通しに対して「結果オーライという甘い見方は一切なく、マーケットからは完全に失格扱いになる」(橋本氏)という。

 また、本来はCFOの攻めの部分になるはずの経営企画・事業企画管理という機能が、日本独特の組織体制により分断されている点も、名ばかりのCFOが存在する理由だと説明する。

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なぜ名ばかりのCFO、いわゆる“経理屋さん”が多いのか?

DXこそ経理・財務担当者が活躍できる絶好のチャンス

 また、橋本氏は「DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉を聞かない日がないぐらい世の中の潮流になっている。経理・財務担当者も、その波に乗っからない手はない」と語る。

 同氏は経済産業省が公表する各種レポートの内容を踏まえ、「DXの本質は、ITシステムのみならず企業文化の固定観念を変革すること。コロナ禍によって人々の固定観念が変化した今こそ、企業文化を変革する機会だ」と語る。

 また、「ビジネスにおける価値創出の中心は急速にデジタルに移行しており、今すぐ企業文化を変革してビジネスを変革できない企業は、デジタル競争の敗者になってしまう」と警鐘を鳴らす。

 その上で「経理財務の視点に立つと、会社の全体像が見える仕事柄、業務プロセスに精通する経理・財務担当者にとってDXとMXの推進は活躍の場として絶好のチャンスが到来している」との見解を示す。

DX推進のカギを握るマネジメント変革「MX」とは?

 橋本氏は「経営者は経営とITが表裏一体であるとの認識を持ち、DXに向けた戦略を立案する必要がある。経営者が単にDXをデジタル化のことを指すと考えているなら、半分程度を理解したに過ぎないと考えてほしい」と指摘する。

「経営層のみならず経理・財務担当者も現状に危機感を持ち、対話の重要性を認識して社外とも積極的に連携するなどの行動を起こしてほしい」(同氏)

 また、橋本氏はDX推進のカギを握るポイントとして「Management Transformation(MX)」を挙げた。DXとMXの関係性について、同氏は海に浮かぶ氷山を例に説明する。

「DXが主に担うIT/デジタル化は、個人で言えば『結果・成果』などに当たり、組織で言えば『ルール・組織構造、戦略・企業行動』などの部分。海上やそのすぐ近くの海面下にあるため働きかけやすい。対して、会社の組織力やコンピテンシーは見えるものではなく、さらに下部にある組織のミッションやビジョン、バリュー、企業文化などは見えない。この部分を変革させるために必要なのがMXだ」(橋本氏)

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個人、組織とDXの氷山モデル

 橋本氏によると「DXとMXは車輪の両輪となる。重心が動かなければ氷山は動かない。DXはMXを伴いながら進めていくべきだ」という。 【次ページ】MXを推進するために必要なこと

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