- 2006/05/23 掲載
野村証券、2006年度~2007年度の経済見通しを発表「安定を維持するポスト・デフレ経済」
2006年度実質GDP成長率:+3.1%(前回2006年2月22日:+3.1%)
2007年度実質GDP成長率:+2.6%(前回2006年2月22日:+2.6%)
1.2006年1-3月期GDP統計(1次速報値)で、実質GDPは前期比年率+1.9%と潜在成長率並みの成長率となった。前期の同+4.3%と均してみれば、年率3%ペースを上回っており、国内景気が依然堅調であることを裏付けている。事前予想と比べて特に強さが目立ったのが、前期比+1.4%と2四半期振りに増加に転じた実質設備投資である。中期期待成長率が着実に上方修正されていること等を背景に、企業の投資意欲は依然強いものと考えられる。
2.デフレ脱却をほぼ手中に収めた日本経済は、足下で原油価格高騰、円高進行、金融政策転換、長期金利上昇、株式市場軟調など、新たな外部環境の変化に直面している。これらの影響は、4-6月期以降の統計で次第に確認されよう。しかし、依然として潜在成長率を大幅に上回るペースで成長を続ける日本経済は、こうした外部環境変化の影響を吸収できる余力をなお十分に有しており、失速するリスクは当面小さいと見られる。
3.日本経済はポスト・デフレ局面での安定性確保のために、昨年までの加速的成長の時期を脱し、ある程度のスピード調整が必要な新たな時期に入ってきた。外部環境の変化は、こうした調整に一部貢献することにもなろう。
4.デフレの中で目立たない形で蓄積されてきた潜在力が今後次第に表面化し、景気の下方リスクを軽減させる可能性にも留意しておきたい。注目しておきたいのは2点であり、第1は、日本企業の国際競争力向上である。デフレ下で累積されてきた外国製品に対する国内製品の相対価格低下と企業の生産性向上努力の奏功により、日本企業は円高に対する抵抗力を相当分高めたものと考えられる。日本経済にとって最大のアキレス腱である、米国を中心とする海外景気の大幅減速に際しても、高い国際競争力が輸出への悪影響を軽減すると期待される。
5.第2は、デフレ下で蓄積されてきた20兆円規模の巨額な「タンス預金」である。これが金利上昇の下で次第に取り崩され、債券、株式などリスク資産への投資に回ることになろう。さらに一部は消費や住宅投資に向けられることで、景気を刺激する効果も今後期待される。
6.今後の日本経済は、安定軌道に向けて緩やかに成長ペースを落としつつも、なお回復基調を維持しよう。景気回復期間は5月に戦後2番目に達したが、11月に「いざなぎ景気」を超える可能性は高いと見ておきたい。野村證券金融経済研究所は2006年度の実質GDP成長率を+3.1%、2007年度については+2.6%と予想した。
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