- 2006/05/12 掲載
【ソリューションレポート】各ツールの2011年の市場規模予測を発表
セキュリティ関連ソフトウェア市場は2011年に1,232億円予測(対05年比177%)
富士キメラ総研は、企業向けに活用されるソフトウェア製品10カテゴリー47品目の調査を行い、結果を報告書「2006パッケージソリューション・マーケティング便覧」にまとめたという。
ソフトウェア製品市場は、景気回復による企業のIT投資の活発化や、2000年前後に構築されたシステムの再編、リプレイス需要などITバブル期並みの大規模案件が出てくるなど市場は好調さを取り戻している。
<調査結果の概要>
1.企業向けソフトウェア47品目市場
2005年 9,471億円 2011年予測 1兆3,410億円(対比142%)
企業業績の改善に伴うIT投資拡大がプラス要因として挙げられる。昨今、基幹システムの構築が一段落した大企業を中心に、蓄積されている膨大な量のデータを有効活用し競争を勝ち抜く為のITツールへの注目度が高まってきている。今後は、ミドルウェアと経営支援・評価系のツールを中心に、企業戦略に活用できるデータを全社的に一元管理し、必要な情報の把握、分析、予測、行動をスピーディに活用ITツールに需要が集まると予測される。
また、2005年4月に施行された個人情報保護法や日本版SOX法の本格的な施行を前に、企業は公正な処理の行えるITシステムの運用が求めら、運用管理ツールをはじめとするツールの需要の高まりが期待される。
2.カテゴリー別注目市場
■業務アプリケーション(バックオフィス系・フロントオフィス系)
2005年 1,621億円 2011年予測 2,313億円(対比 143%)
バックオフィス系パッケージソフト市場では、中堅・中小企業向けERP市場が活況を呈しており、今後の急激な市場拡大が見込まれる。販売・在庫管理ソフトや物流・倉庫管理ソフトでは、ICチップとの連携を視野に入れた製品開発が進む。ICチップによるトレーサビリティの実現は消費者にとってもメリットが大きく、新しいビジネスモデルの確立が急がれている。
営業部門やコールセンターといったフロントオフィス系は、営業活動の合理化による生産性の向上を目的としたパッケージソフトの導入が進みつつある。また一般企業や公共分野において、ユーザーや住民の満足度を向上させる目的でコールセンターの構築が活発化している。従来の電話だけの対応からメールやWebでの対応も可能としたコンタクトセンターの構築需要の拡大により、CTIに対するニーズも増大している。
■セキュリティ
2005年 695億円 2011年予測 1,232億円(対比 177%)
個人情報保護法や相次ぐ情報漏洩事件を背景として、企業システム及びネットワークにおけるセキュリティ対策ニーズは急速に高まっており、セキュリティ対策ツールは高い需要を維持している。セキュリティ対策は、企業のシステム化、ネットワーク化が浸透、拡大するにつれて必要不可欠となっている。強化対象部分の拡大や新規対策分野の出現などにより今後も高い重要性が見込まれる。近年社会問題となっている、Winnyなどのファイル交換ソフトへの対応も求められており、各製品ともWinny対策をキーワードとして訴求力の向上を図っている。
■運用管理ツール
2005年 2,166億円 2011年予測 3,110億円(対比 144%)
主な導入先である大手企業では、需要が一巡しているが、リプレイスや運用管理対象の拡大など底堅い需要を持続している。また運用管理プロセスの改善や見直し、管理コストの削減を目的として製品追加や新規導入なども安定した需要があるほか、日本版SOX法による運用管理の強化ニーズなどが増大し、拡大成長が続くと予測される。製品も、従来の管理対象であるサーバ管理に止まらず、システムの安定稼動やアプリケーションの継続利用を確保するため、パフォーマンス管理などの機能強化が図られている。運用管理としては、近年高まりを見せるセキュリティ対策として、IT資産管理やクライアント管理などといった機能面の強化が積極的に行われている。
3.注目ソフト
■物流・倉庫管理ソフト
2005年 70億円 2011年予測 180億円(対比 257%)
物流・倉庫管理ソフトとして物流センター・自家倉庫・営業倉庫などの入出荷・在庫管理システムを構築するためのWMS(Warehouse Management System)が対象である。WMSは物流センター内の全ての機能を一元管理し、会社の物流情報の統合を図ることができる。物流拠点の効率的な運用が企業利益の拡大や資産収益率にも直結するため、多様化する顧客ニーズへの対応、高付加価値差サービスの提供、経営資源の効率化や最適化を実現するための手段として、物流・倉庫管理ソフトの導入が進んでいる。その他にもIT投資額の増加、流通業や小売業での物流管理ニーズの高まり、海外拠点における物流管理ニーズも同時に高まりつつあり、市場は拡大を続けると予測される。
■文書管理ツール
2005年 79億円 2011年予測 155億円(対比 196%)
文章管理ツールは、ビジネスにかかわる電子ファイルを統一的に管理・利用するためのツール。電子ファイルを蓄積するライブラリ機能を持ち、バージョン管理機能や検索機能、配布・共有機能、アクセス管理機能を提供することで、文書の共有、共同作業を実現し、業務の生産性を向上させる目的をもっている。市場は、製造業の製造部門、技術部門、研究部門などを中心に、建設、金融、自治体/官公庁などの文書管理ニーズを取り込み堅調な需要を確保してきた。2005年以降は、社内ドキュメントの統合管理システムや、オフィスの生産性のアップ、蓄積・管理された文書を有効活用するナレッジマネジメントの実現を目的とした導入が増えてきている。更に、情報漏洩対策や個人情報保護法対応など、セキュリティ及び、コンプライアンスといった要因での導入も増え市場が拡大してくと見られる。
■プロジェクト管理ツール
2005年 24億円 2011年予測 60億円(対比 250%)
プロジェクト管理ツールは、製品開発、研究開発時などのプロジェクトを成功に導くべく、プロジェクトを進行する上で必要な様々な項目を管理するソフトウェア。主な機能としては、作業内容の入力、作業進歩管理、分析・評価、コラボレーション/ワークフロー、品質管理機能などがある。プロジェクトのコスト削減、利益の確保が重要視されてきていることから、ポートフォリオの分析・評価機能を重視した経営管理的な機能を持つ製品もある。システムやソフトウェア開発などにおいて円滑かつ的確なスケジュールで開発を推進していくためのマネジメントツールとして導入されることで市場を形成、拡大させている。またシステム開発などのプロジェクト管理に加えて、近年では組込み開発企業の拡大、増加を背景として組み込み開発におけるプロジェクト管理のツールとしての需要も高まっている。市場は、ユーザー層の拡大やプロジェクトの進歩、問題点などを可視化するツールとしてなど需要、さらにはポートフォリオマネジメントを実現するツールとしての需要などにより、今後も急成長を遂げていくものと予測される。
■フィルタリングソフト
Webフィルタリング
2005年 120億円 2011年予測 205億円(対比 171%)
メールフィルタリング
2005年 45億円 2011年予測 105億円(対比 233%)
Webフィルタリングソフトは、インターネット普及を背景とした学校でのPC教育の増加により、有害なWebサイトへのアクセスを制限、防止するためのツールとして教育分野需要を中心に市場を拡大させてきた。近年も、教育分野での堅調な更新需要を取り込んでいるほか、不要なWebアクセスを防止することでのネットワーク負荷の低減などの需要も獲得することで成長している。また情報漏洩の恐れがあるサイト閲覧を防止することにより、近年高まっている情報漏洩対策ツールとしての導入も顕在化している。
メールフィルタリングに関しても、スパムメール対策や機密情報のメールによる誤送信防止など情報漏洩対策ニーズの高まりにより市場が拡大している。
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