- 2006/02/14 掲載
本格化する中堅企業のERP導入(後編)
経営資源の最適化とコンプライアンスが鍵
関連会社7社共通の標準生産管理システムへ

サンデンでは今まで、関係会社が個別に情報システムを構築・運用していたが、それによりグループ全体での業務の把握が難しく、リソースを有効に活用できないといった問題を抱えていた。また各社の間で、セキュリティ対策の格差が生まれており、その是正にも早急に取り組む必要があった。
これらの問題を解決すべく、グループ共通の生産管理システムを構築・導入するとともに、システム運用をサンデンシステムエンジニアリングが一括して行なうというシステム改革に踏み切った。サンデンは全社レベルでの導入にあたり、NECの組立製造業向けのEPRソリューション「EXPLANNER/J」を採用。「EXPLANNER/J」は、受注から生産・出荷までの業務処理を、すべてWeb対応にしたパッケージモジュールとして提供する。
「EXPLANNER/J」は、中堅企業の「時間」と「コスト」の問題にも対応した。従来のC/S型のシステムではサーバ側とクライアント側の両方でシステムを開発する必要があったため、カスタマイズに時間とコストがかかり、取引ごとの要求や、製品ごとに異なる生産形態に個別対応することは難しかったが、「EXPLANNER/J」では、これらの問題をJava対応の開発環境(EXPLANNER/J Studio)を提供することでクリアしている。これによりユーザー企業は必要に応じて業務アプリケーションの構築・仕様変更が可能となる。

開発した業務アプリケーションプログラムは「EXPLANNER/J Runtimeモジュール」上で動作する構造であるため、OSやデータベースのバージョンアップの際にも、変更する必要がない。ユーザーは業務アプリケーション部分にだけ投資すれば良いことになり効率が良い。
納期は半分、導入コストは1/3
サンデンが採用した標準生産管理システムにおいても、「EXPLANNER/J」の基本機能をベースに、生産関係会社7社が共通的に必要な会計システムやEDIシステムとの連携機能、納品書や在庫報告書のフォームなどを追加開発するという方法がとられた。これに7社が独自に必要な機能を必要に応じて個別に追加開発することで、業種を超えた生産管理システムの統一を実現した。

サンデンでは、標準生産管理システムに独自機能を追加開発せずに導入することで、2社目以降の導入期間を6ヶ月から3ヶ月に短縮することを実現している。また、各社個別に生産管理システムを構築した場合に比べ、1/3の投資金額での導入が可能であると見込んでいるという。
運用面では、関連会社のサンデンシステムエンジニアリングが集中的に管理することにより、セキュリティ対策やバックアップなどリスク管理面での運用強化が可能となった。また、従来関係会社各社でシステムを管理していた要員が不要になるという、「人」の面でのコスト削減メリットがも見え始めている。 サンデンの標準生産管理システムは、すでに関係会社2社で導入を完了しており、順次その他5社にも導入を進めて行く予定であるという。
サンデンのように、関連会社の生産管理システムの標準化を選択する製造業は少なくない。資材の調達から部品の組立て、加工まで、システムとして共通化できる部分が多いほど、コスト削減効果は大きくなり、意思決定も迅速化する。中堅製造業のERP導入は、単なるレガシーシステムの移行という理由だけでなく、攻めの戦略へと、今まさに移り始めている。
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