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現代で求められている「EX」を探るには歴史的背景の理解が必要
日本語で「従業員体験」と訳される「EX(Employee Experience)」は、従業員が企業で働くことによって得られる、あらゆる体験を表す概念だ。EXの内容は、働くことで得られる満足度から、福利厚生や報酬を通して感じたことまで多岐にわたる。EXは組織と従業員をつなぐ重要な概念であり、いかにEXを向上させていくかが、企業にとって重要なテーマになっている。神戸大学大学院経営学研究科准教授の服部泰宏氏は、EXを考えるうえでは、人事管理の歴史を俯瞰(ふかん)する大きな視野が必要だと語る。
「それまで経験や勘で行っていた人事管理のあり方を、集中的にコントロールする動きが出てきたのは1900年前後から1920年頃です。その時点から給与制度や仕事の仕方に関する科学的議論が始まりました。その後、従業員の福祉を考慮する発想が出てきたのは、1920年から1960年頃です。人間性を考慮した総合的な議論が始まりました」(服部氏)
1960年頃から1980年頃に人事管理のトレンドとなったのは、組織の合理化だった。
「工場の自動化、ビジネスプロセスの整備など、仕事のフローや流通をいかに最適化するかの議論がさかんになりました」(服部氏)
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