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  • 2016/12/26 掲載

深刻化する書店の経営難に反し、なぜ”天狼院書店”は右肩上がりの成長ができるのか?

「ビデオカンファレンス導入事例」天狼院書店

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インターネットの無料コンテンツや電子書籍の普及により、書籍の売上低下、書店数の減少が止まらない。1999年に約2万3千店あった書店が、2014年には約1万4千店と約40%も減少し、小規模の書店は経営難で廃業を余儀なくされている。各社、様々な工夫で書店を盛り上げる施策を打ち出す中、「READING LIFE―本を通した体験―」をコンセプトに東京・福岡で天狼院書店を経営する東京プライズエージェンシーは、ゼミや部活と呼ばれるイベントを開催することで、ファンを増やし売上を伸ばしている。来年には京都に新店をオープンさせるなど好調の同社だが、その要因とは一体何なのだろうか。

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東京プライズエージェンシー
代表取締役
天狼院書店 店主
三浦 崇典氏
「天狼院書店は、”本だけではなく、その先にある体験までも一緒に提供しよう”というモットーで生まれました」と語るのは、三浦 崇典氏。

 同社代表取締役の傍らプロライターを務める三浦氏によると、SNSの口コミなどで、ゼミや部活と呼ばれる講座、イベントへの参加者が年々増え、現在では300~400人が天狼院書店の提供するコミュニティに所属している。

 その中でも特に人気なのが、人気作家や、三浦氏自身が講師を務める「ライティングゼミ」だ。プロが伝授するライティングの奥儀は、本気で小説家やライターを目指す者の間で、瞬く間に人気となり月に180名もの受講者がいるという。

 CDも書籍同様に時代とともに売上が減少しているが、人気アーティストのライブチケットは高額転売されるほど、根強い人気を誇る。それと同様、天狼院書店で行われるイベントも”ライブで新たな体験を得られる”という点から人気を博したようだ。

「書籍で知り得る知識は、体験を通じて身に着けてほしいという思いから、ゼミなどのイベント開催に積極的に取り組んできました。東京店はわずか15坪という狭い空間ではありますが、今では入り口まで人がいっぱいになるほど集客できています」(三浦氏)と、その盛況ぶりを語るも、一方で課題があったと続ける。

 「ゼミやイベントが好評なのは大変有難い話なのですが、東京店は狭いので動員数が限られているし、わたし自身、店主としての仕事や執筆活動も同時並行で行っているため、東京、福岡、それぞれの店舗でコンスタントにゼミを開催することが難しくなっていました。また、東京、福岡間の行き来は時間もコストも要するため、効率的に開催する方法を検討していました」(三浦氏)と話す。

 三浦氏が語るように天狼院書店の目玉であるゼミをはじめとしたイベントは、講師の都合によって開催数や開催場所が偏ることが多く、受講者のニーズに答えられなくなってきていた。アーカイブ配信も行っているが、著名人を講師として招いた授業形式のイベントも多く、リアルタイムな質疑応答やコミュニケーションが求められるそういったイベントではアーカイブ配信は対応できない。

 そうした背景から、ライブで行うことにこだわり、TV会議システムを活用し、東京で開催するゼミを福岡店へ配信できないか検討し始めた。いくつかのサービスを検討した結果、お客様に快適な環境を提供するためにも、キャリアの安定した通信網を使いたいと考え、ソフトバンクが提供するビデオカンファレンスの導入を決意した。

TV会議システムを活用しイベント参加者を3.5倍に

 そうして、天狼院書店では2016年3月より、ビデオカンファレンスを活用しゼミやイベントの配信をスタートさせた。当初はそのスタイルに驚く来店客もいたというが、ゼミの開催場所である東京店の収容人数は20 人なのに対し、ライブ配信を行う福岡店は50人あるため70名にまで収容人数を増やすことが可能となった。イベントの内容によって参加人数は変わるというが、確実に参加者数を増やし売上アップを達成した。天狼院書店は、京都での新店舗オープンを控えており、今後もさらなる売り上げアップが見込める。

「東京でしか開催できていなかったイベントが福岡でも開催できるようになり、福岡店のお客様にも大変好評です。また、福岡では巨大スクリーンと最新技術のスピーカーを設置し、ミニシアターのようなリッチな空間を作るなど、中継でも足を運んでもらえるよう工夫を施しています」(三浦氏)

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三浦氏が登壇しライティングゼミを行う(東京)。
この様子は、福岡店にもライブ配信される。

ビデオカンファレンスを活用したライブ配信は他にもメリットを生んだ。

「京都をはじめ、全国に店舗を増やしていくことを計画しているので、日々全国を飛び回っています。そのため、講師の私にとっては自分自身が東京にいなくても講座を行えるという点はメリットでした。それは他の講師にもいえることで、講師陣がどこにいても、どこからでも講座を配信できるとなればイベント開催数も今後も増えていくでしょうし、それによりイベントのバリエーションも増やせると考えています」(三浦氏)

ビデオカンファレンス選定のポイント

「ネットワーク、電話会議専用の機器と、すべてをワンストップで提供いただける点が決め手でした。店舗の拡大を目指している中で、TV会議システム周りはソフトバンクに任せれば、今後もすべて対応いただけ、手間がかからないと感じました。また、1つの企業にお任せすることで障害発生時の切り分けもスムーズにいくと思っています」(三浦氏)と言う。

また、運用に関して店舗スタッフの石坂氏はこう語ります。
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天狼院書店
石坂 高樹 氏


「頻繁にビデオカンファレンスを活用したライブ中継は行っていますが、通信はソフトバンクの専用回線を使っているため、今のところ大きな問題になったことはありません。そのため、お客様、運用側の双方にストレスフリーな運用ができています」(石坂氏)

 通常、コスト削減や業務効率化ために導入されるビデオカンファレンスも、同社が使えば、売上を拡大する一つのサービスに代わる。書籍の売上だけでは生き残りが難しくなっている書店ビジネスおいて、「リアルな体験を提供する」同社の取り組みは、業界に新たな風を吹かせるのではないだろうか。

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