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  • 2015/06/05 掲載

今なぜSDSが求められているのか? その背景を探る

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近年、動画や画像、音楽、電子書籍などの非構造化データが爆発的に増大している。これらのデータを格納するストレージの分野において、注目を集めているのが「ソフトウェア・デファインド・ストレージ(以下、SDS)」だ。SDSにはどのような特徴があり、なぜ今求められているのか。その背景を、ペタバイト規模のSDS「Scality RING」を開発・提供するスキャリティ・ジャパンの石渡達也氏と、Scality RINGの国内初のディストリビューションパートナーである、ブロードバンドタワーの樋山 洋介氏に聞いた。

データの「蓄積」から「活用」を前提にしたデータ管理が鍵に

 企業で取り扱うデータの規模や種類が爆発的に増えている昨今、データをいかに効率よく、活用しやすい状態で格納するかはビジネスに直結する課題と言える。そこで今、にわかに注目を増しているのがSDSと呼ばれるストレージの新アーキテクチャーだ。

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ブロードバンドタワー
営業統括グループ ディレクター
樋山 洋介氏
 こうした背景の中、データセンター事業者であり、ストレージ販売も手掛けるブロードバンドタワーは、先ごろSDSの新興企業であるスキャリティ・ジャパンと提携し、同社の旗艦製品である「Scality RING」のディストリビューションパートナーとなった。データ活用の質的な変容について、ブロードバンドタワーの営業統括グループ ディレクターの樋山 洋介氏は、次のように指摘する。

「日々お客様に接していると、最近のビジネスではデータの位置付けが変わってきたように感じます。従来までデータは単にストレージに蓄積されているだけで、営業や経理情報のように自社の活動を把握するものに過ぎませんでした。それが最近では、既存ビジネスをもっと積極的に拡大する、あるいは新規ビジネスを起こすためのものへと変わってきました」(樋山氏)

 つまり、ビッグデータにしても、先進的な企業は「データをいかに活用していくか」という視点に移ってきているのだ。データの位置付けの変化に伴って、ストレージの役割も「単なる大容量のデータを格納する記憶装置以上の存在になってきた」と樋山氏は語る。

「弊社のお客様からも、例えばクラウドの仮想マシンサービスやデータベースサービス、オンラインストレージサービスなど、様々なアプリケーションと密に連携して、ストレージを動作させたいという要望が寄せられるようになってきました。このようなお客様のニーズに答えようとすると、どうしても従来型のストレージ・アプライアンスでは、アーキテクチャー的に限界が訪れつつあります」(樋山氏)

 実際にデータセンター事業者やWebサービスベンダー、メディア系などの大容量ストレージを保有する企業や、有用なデータを保有してビジネス拡大を狙う先進的な企業では、すでに多くの課題が挙がっているという。それらは大きく4つに分けられると樋山氏は説明する。

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大容量ストレージ市場のニーズとトレンド。「スケーラビリティ」「アベイラビリティ」「コンソリデーション」「オープン化」が求められている

 たとえば、データを保存する際の「スケーラビリティ」だ。ストレージの規模が大きくなると、既存のアーキテクチャーでは拡張性が頭打ちになり、効率の良い管理ができない。さらに、社内に乱立・サイロ化したストレージを統合する「コンソリデーション」(統合化)の課題も大きい。さまざまな種類のデータを効率よく管理し、一元的にデータにアクセスできる柔軟性が非常に重要になってくるのだ。

 また、もし何か障害が起きてもシステムが止まらない「アベイラビリティ」(可用性)も、企業にとって絶対に欠かせないものだ。そして従来のストレージはユーザーによる管理が限定的にしか解放されず、ベンダーによって技術的に縛られてしまいがちという問題もある。ハードウェアに依存せず、標準技術でコストや運用の最適化を図る「オープン化」も求められている。

ストレージ・アプライアンスの課題解決に期待が高まるSDS

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スキャリティ・ジャパン
市場開発 兼 マーケティング部長
石渡達也氏
「我々は、こうした従来のストレージ・アプライアンスの課題を、標準的なx86サーバ上で動くSDSのアプローチによって解決しようとしています」と、先ごろ日本法人を設立したスキャリティ・ジャパンの市場開発 兼 マーケティング部長 石渡 達也氏は説明する。

 SDSは、従来ハードウェアベースで実現してきたストレージの機能を、ソフトウェア上で定義し、高い効率性と自動化を実現する。多くのSDS製品は、汎用的なコモディティサーバで動作するため、容量単価や性能単価の低いストレージシステムを構築することができる。

 企業のニーズが高まっていることもあり、今多くのベンダーがSDS市場に続々と参入している状況だが、同社が提供するScality RINGとは一体どのようなものだろうか?

 Scality RINGは、分散型のオブジェクトストレージとして、データを保持する「RINGストレージノード」(物理サーバ6台以上)と、データの格納/取り出しを行う「RINGコネクターノード」(物理または仮想サーバ)、統合管理を行う「RINGスーパーバイザー」(物理または仮想サーバ)で構成される。

 具体的にはリング型トポロジーになっており、ストレージノードとコネクターノードを必要に応じて増やすことで、リニアな拡張性に対応し、ペタバイト級のストレージシステムも構築できる。

圧倒的な柔軟性と自由度の高さ、ペタバイト級の事例も豊富

 さらにハードウェア認証が不要で、かつ多様なプロトコルにも対応している。たとえば、オブジェクトアクセスだけでなく、ファイルアクセス、VMベースのアプリへのアクセス、リモートアクセスなども可能で、ユーザーの用途に応じた柔軟な使い方ができる点は非常に大きなポイントになっている。

 ブロードバンドタワーの樋山氏は「このような柔軟性を備えているからこそ、Scality RINGは幅広いユースケースに対応できるのです。そのため我々は、数多くのSDS製品から、このScality RINGを選定したという経緯があります」と強調する。

 ハードウェア依存が低く、多くのハードウェアを柔軟に選択できる点については、石渡氏も自信をのぞかせる。

「他社のSDSもx86サーバで動きますが、Scality RINGの場合は、このサーバでなければいけないという縛りがないため、その時点で手に入る一番安いサーバで動作させることができます。ここまでの自由度の高さは、他社SDS製品にはない特徴と言えるでしょう」(石渡氏)

 そして何よりも特筆すべき点は、すでに具体的な数多くの事例が、Scality RINGの優位性を示していることだ。たとえばペタバイト級での大規模な導入事例だけでも、イギリスのDailymotionやベルギーの通信キャリア・Telenetなど、すでに70社以上も有している点は、Scality RINGの大きな強みといえる。海外だけでなく、日本国内でも大手携帯キャリアやニフティでも実績がある。

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Scality RINGのユースケース。大規模ウェブサービス/パブリッククラウド、コンテンツ配信、シミュレーション/分散コンピューティング、エンタープライズ・プライベートクラウド、アクティブアーカイブといった5つのユースケースでの展開も図る

ストレージに強いブロードバンドタワーだからこその強みを発揮

 このようなワールドワイドの実績を踏まえて、ブロードバンドタワーでは、ディストリビューションパートナーとして、国内での販売を展開していく方針だ。樋山氏は、「国内市場では、当面は放送業界に注目していますが、テレビだけでなく、インターネット放送なども含めて、柔軟性があるScality RINGはあらゆるニーズに対応できると考えています」と意気込みを語る。

 インターネット黎明期の2000年から長くデータセンターを展開し、インターネットのインフラを支えてきたブロードバンドタワーは、多数のストレージ専門エンジニアと充実したサポート体制を有することも強みだ。

「我々は、自社のデータセンターにScality RINGを導入し、クラウドサービスも提供していくため、自ら製品の理解を深めており、他の代理店よりも強みを発揮できるでしょう。また、Scality RINGの導入を検討するお客様には、弊社のデータセンターにてテスト環境もご提供いたします」(樋山氏)

 このように樋山氏はScality RINGの販売拡大に自信をのぞかせた。データの活用がビジネスの成功を左右する今の時代、経済性や信頼性という面でユーザーニーズに合致するSDSの流れは、今後も確実に広がっていくと言えるだろう。

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