- 2021/04/07 掲載
IHI、AVL社と燃料電池システム向け電動ターボチャージャーの技術協力協定を締結
世界のエネルギー,モビリティシステムが,脱炭素化に向かう中,カーボンニュートラルの実現に向け,世界の自動車メーカーは,これまでのガソリン車やディーゼル車から,HEV(ハイブリッド車),BEV(電気自動車),FCV(燃料電池車)へシフトすべく,開発を進めています。トラック,バスなどの大型商用車については,航続距離,燃料充填時間,積載量の観点において有利なFCVの開発,提携が活発となっています。
IHIの電動ターボチャージャー(Electric Turbocharger,以下「ETC」)は,FCVに搭載される燃料電池システムにおいて,重要な要素である酸素(圧縮空気)の供給を担っています。 IHIは,FCV,定置式向けを含め,燃料電池システム向け空気過給機を約20年前から開発し,製品化を重ねてきました。2018年には,業界に先駆けて,燃料電池システム向けとしては初となるタービンを搭載したETCを製品化し,Daimler社の Mercedes Benz GLC F-CELLに搭載されています。
AVL社においても,約20年前から燃料電池関連事業を進めており,自動車から定置式向けまで,多くのプロジェクトの実績があります。現在では,燃料電池技術拠点を,オーストリア,カナダ,ハンガリーに持ち,約350名の技術者が燃料電池関連事業に携わっており,更なる事業拡大を図っています。
AVL社は,燃料電池システム,パワートレイン,バッテリ,モーターなどの知見,技術があり,IHIは,内燃機関,FCVを含む車両用ターボチャージャーの知見,技術があることから,協業により双方の知見・技術を活かし,より高効率な燃料電池パワートレインシステム実現を目指します。 今回の協業では,まずはAVL社にて現在開発中の商用車向けHytruck(※)燃料電池システムに,IHIが開発中のETCを搭載する予定であり,既に試作品を供給しています。Hytruck燃料電池システムは,150kWの出力を備えたモジュラー・プラットフォームであり,トラックやバス等商用車向けとなっています。 AVL社とIHIは,他のプロジェクトにおいても,更なる協力を計画しています。
IHIのETCは,空気軸受の採用によりオイルフリーを実現することで,燃料電池で使用される触媒の潤滑油ミストによる被毒問題を解消しています。また,燃料電池からの排気をタービンで回収することで,システムの高効率化を実現し,小型,軽量化に貢献にできるという2つの大きな特長があります。 IHIでは,燃料電池の出力に応じて,Sサイズ,Mサイズ,Lサイズとシリーズ展開を図るべく,次世代ETCの開発に取り組んでおり,今後も,これら水素・燃料電池関連技術を通じて,地球に貢献していきます。
(※)オーストリア政府によりサポートを受けているAVL社の開発プロジェクト名。
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