- 2021/03/08 掲載
中国5カ年計画、成長目標なしで政策の柔軟性向上=発改委副主任
[北京 8日 ロイター] - 中国国家発展改革委員会(発改委)の胡祖才・副主任は8日、中国が2021─25年の5カ年計画で経済成長目標を設定しなかった理由について、不確実性が高まっていることに加え、変化により柔軟に対応するための余地を政策当局者に残すためだと明らかにした。
5日開幕の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に当たり公表された5カ年計画では、前回とは異なり、年間平均の成長率目標が盛り込まれず、「(成長を)合理的な範囲」に保つとの文言が使用された。
一方で、政府活動報告では今年の年間成長率目標が6%以上に設定された。新型コロナウイルス流行に伴う世界的な不透明感から昨年は目標が設定されなかった。
胡副主任は全人代開催に伴う記者会見で、その年の成長を予想するほうが容易だとして、今回の5カ年計画の期間中は状況に応じて年間成長目標を設定するとの方針を示した。
副主任は「具体的な数値での(5カ年)成長目標を設定しないことによって、より積極的かつ主動的に、そして気楽にあらゆる種類のリスクに対応できる。これはわれわれの発展の柔軟性を高めるのに資するものだ」と説明。各機関が単に数字上の成長ではなく、成長の質や効率改善に注力することにつながるとした上で、「(向こう5年で)GDP(国内総生産)が一定の水準を維持することにわれわれは自信を持っている」とも語った。
副主任は、2021ー25年の失業、エネルギー原単位、二酸化炭素(CO2)排出原単位に関する目標について、GDPと連動したものだとし、潜在成長率に沿った成長率を目指す方針を示唆した。
副主任は、潜在成長率については明言しなかったが、一部のアナリストは5%前後と推定している。
2021ー25年の失業率の目標は5.5%以内。エネルギー原単位の削減目標は13.5%。
中国の一部の政策顧問によると、指導部が掲げる1人当たりGDPを中進国並みにする長期目標を達成するには、今後15年間で少なくとも年平均4.7%の成長を維持する必要がある。
同じ会見に出席した発改委の寧吉哲・副主任は、2021年の経済成長目標の達成に自信を示し、ロックダウン(都市封鎖)の解除を開始した昨年第2・四半期以降、今年1-2月の国内経済も引き続き安定した回復傾向にあるとの認識を示した。
ただ「厳しく複雑な」世界の見通しなど、2021年の経済にはリスクと課題があるとも指摘。
「国内の景気回復の基盤は、十分に盤石なものではなく、居住者の消費はまだ制限されている。投資の伸びも勢いに欠ける」とし、小規模事業者が多くの問題を抱えていると述べた。
2021年の経済成長率は8%を超えるとの見方が多い。特に第1・四半期は2桁成長が予想されている。ただ、アナリストは比較対象となる前年のGDPが低水準だったことが一因で、回復は依然まだら模様だと指摘している。
*内容を追加しました。
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