- 2020/11/11 掲載
空売り投資家、ワクチン期待受けた旅行関連株の反発で多額の損失
米製薬大手ファイザーとドイツ製薬ベンチャーのビオンテックは9日、新型コロナウイルスの予防ワクチンの臨床試験(治験)で有効性が9割に達したと公表した。
ORTEXアナリティクスのデータによると、欧州の旅行・レジャー関連企業に空売りを入れていた投資家は、9日のポジションに基づくと2億8400万ドルの損失を出した。欧州の銀行株をショートにしていた投資家の損失は2億3300万ドルに達した。
また、米国市場では、カーニバル<CCL.N>、エクスペディア<EXPE.O>、アメリカン航空グループ<AAL.N>などのわずか7つの旅行関連銘柄だけで、ショートにしていた投資家の損失は23億5000万ドルに膨らんだ。 業界全体の空売りによる損失はこれをはるかに上回っている可能性が高い。
欧州の旅行・レジャー関連株<.SXTP>は月初から12%上昇、銀行株<.SX7P>も10日に5カ月ぶり高値を記録した。
ロールスロイス<RR.L>、カーニバル<CCL.L>、ブリティッシュ・エアウェイズの親会社IAG<ICAG.L>は今週の株高の勝ち組。また、ソシエテ・ジェネラル<SOGN.PA>、バークレイズ<BARC.L>、ロイズ<LLOY.L>などの銀行株も10─25%上昇した。
こうした反発は、ここ数カ月、これらの銘柄の下げを見込んで利益をあげていた空売り投資家に大きな打撃となっている。ORTEXによると、 ドイツ航空大手ルフトハンザ<LHAG.DE>に空売りを入れていた投資家の損失は9日、1億0100万ドルの損失に達した。旅行代理店の独TUI<TUIGn.DE>をショートにしていた投資家の損失も5200万ドルとなった。
ORTEXの共同設立者、Peter Hillerberg氏は、ファイザーの発表は科学や人類にとり朗報だが、空売り筋は市場の大幅調整に巻き込まれたようだと指摘した。
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