- 2020/10/22 掲載
米経済活動は控えめに拡大、部門間でばらつき=連銀報告
[21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は21日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動が10月初旬にかけて、わずかから控えめに拡大したものの、状況は部門によって相当異なるとの認識を示した。
報告では「各地区とも見通しはおおむね楽観的かポジティブだが、かなりの不確実性を伴う」と指摘した。
米国の新型コロナウイルスの感染件数は7月下旬から9月上旬にかけて減少した後、再び増加している。ロイターの分析によると、50州のうち34州が、少なくとも2週連続で新規感染件数が増えた。前週は29州だった。
気温が下がるとともに屋内で活動する消費者が増え、感染者が増加する可能性がある。夏の間、屋外の席を活用できたレストランやその他の事業は再び客足の減少に悩まされるかもしれない。
米野党・民主党のペロシ下院議長は21日、11月3日の大統領選前に個人や企業を支援する対策で議会が合意することに「楽観的だ」と話した。ただ、共和党が合意するかどうかについて懐疑的な見方が残る。
FRBは9月の政策決定会合で、物価が中銀の目標である2%を一定期間、適度に上回る水準で安定し、労働市場が完全雇用状態に近づくまで金利をゼロ近辺に維持することを決めた。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は大統領選直後の11月4─5日に行われる。
雇用は大半の地区で増えた。ただ伸びのペースは引き続き遅い。製造業が最も安定的に伸びているが、一時帰休や解雇も続いている。
大半の地区が引き続き労働市場の逼迫を報告。労働者にとって衛生面や保育面が懸念となっている。一方、いくつかの地区は一部の企業にとって採用がしやすくなっているとした。
製造業活動は総じて、緩やかに伸びた。住宅市場は引き続き需要が安定している。商業用不動産の状況は多くの地区で一段と悪化した。
賃金は大半の地区で小幅に増えた。低賃金、もしくは高需要な仕事に関して働き手が見つからないことに起因する場合が多かった。
個人消費の伸びは底堅さを保っている。一部の地区は小売売上高の伸びが鈍化する一方、観光活動がわずかに増えたとした。
物価は全ての地区で前回報告からやや上昇した。
自動車需要は引き続き安定していたが、農業部門の報告はまちまちな内容だった。
投入コストは総じて消費者物価より速いペースで上昇した。消費者物価は全地区でやや伸びた。食品と自動車、家電製品は大幅に上昇した。
多くの地区で銀行部門の調査先が、向こう数カ月間で滞納率が増えるとの懸念を示した。
複数の地区は、多くの企業にとって新型コロナに関連する費用が引き続き増えているとした。
*内容を追加しました。
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