- 2020/08/13 掲載
米景気回復ペース、ウイルス封じ込めまでは緩やかに=3連銀総裁
ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、マサチューセッツ州のサウスショア商工会議所が主催したオンラインイベントで、公衆衛生上の問題から人との接触が多い活動が控えられるため、消費支出が低迷する可能性は高いとし「今秋の米経済の先行き不透明性はかなり高いが、(早い周期で経済情勢を測る)ハイフリークエンシー指標でこのところ示されている経済活動の減速は、継続する公算が大きい」と述べた。
その上で、新型ウイルスワクチンが直ちに利用できる公算は小さいため、消費者、および企業は秋から冬にかけてリスクを管理する計画が必要になると指摘。
感染拡大初期に長期にわたり経済活動を停止した州は、現在は公衆衛生、経済の両面で良好な状況にある一方、抑制策の緩和を急ぎ過ぎた州では感染が再拡大し、経済活動の活性化は短命に終わったと分析。「各州政府の限定的で一貫性のない対策で、人々が感染や死亡のリスクにさらされるだけでなく、景気悪化が長期化する恐れがある」と述べた。
ダラス地区連銀のカプラン総裁はテキサス州のラボック商工会議所向けのウェブキャストで「経済回復は続いているが、感染第2波により回復は弱まっている」と指摘。失業率は年末までに9%以下になる可能性があると想定していたが「それにはマスク着用などが順守される必要がある。従わなければ、人々はより自由を感じるかもしれないが、経済成長は鈍化する」とし、マスク着用などの安全策を適用しながら、米国民は「ウイルスと共に生きていく」ことを学ぶ必要があるとの考えを示した。
サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、週600ドルの失業給付増額措置が7月末で失効したことにより、家賃や食料購入、債務返済に充てられていた収入がなくなり、家計や経済全体に影響を及ぼす可能性があると指摘。「消費者の需要や支出に幾分、潜在的な穴が生じる」とし、「消費者が(失業給付増額による)リソースを家賃の支払いや食料品、その他日用品の購入に充てていたことを示す証拠がある」と述べた。
失業給付金が人々の再就職意欲を削ぐとの見方については、そうした主張を裏付けるような証拠はほとんどないと述べた。
また、米景気回復は、新型コロナの感染状況に左右されながら緩やかなペースで段階的に進み、V字回復は見込めないと指摘した。
*内容を追加しました。
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