• 2024/10/03 掲載

2%目標と整合的な意識確立には相応の時間、忍耐強く緩和環境維持を=野口日銀委員

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Takahiko Wada

[長崎市 3日 ロイター] - 日銀の野口旭審議委員は3日、2%物価目標と整合的なマインドセットが社会全体で確立されるまでにはまだ相応の時間が必要で、それまでは「何よりも、緩和的な金融環境を忍耐強く維持し続けることが重要」と語った。長崎市で開いた金融経済懇談会であいさつした。

野口委員は先行きの政策運営について、消費者物価の上昇率が賃金上昇を伴いながら2%近傍で安定しつつあることを「慎重」に見極めながら、現状の金融緩和を徐々に調整していくことになると述べた。

コロナ禍後の日本では財・サービスともに価格変動率がゼロの品目の比率が低下し、価格改定頻度が増加しているとして「日本経済の根強いゼロノルムが、今まさに崩れ去ろうしている可能性を示している」と話した。ただ「このインフレ下で続いていた実質消費の停滞が示唆しているように、消費者の側にはまだ、価格は上がらないのが当然という意識が根強く残っているようにも見える」と指摘した。

7月の金融政策決定会合で利上げに反対票を投じるなど、野口委員は政策委員の中でハト派とみられている。

野口委員は7月の利上げが「1987年10月に起きたブラックマンデーの再来を思わせる急激な株価下落の要因の1つとなった」とした上で、経済の現状に関する日銀自身の見方とその日銀の見方についての市場の認識との間に齟齬(そご)があったのではないかと話した。

今後の課題として、市場が日銀の考え方をどう捉えているのか十分に把握しておくことが必要だとしたほか、経済状況の進展などによって日銀のコンセンサスに変化が生じ、市場の認識との間に大きな齟齬が生じる可能性がある場合には「そのギャップを埋めるべく、日銀の側から可能な限り丁寧なコミュニケーションを行う必要がある」と述べた。

7月の決定会合で決めた国債買い入れの減額計画については、日銀のバランスシートの最適な規模を現時点で確定することは難しく、計画の期限である2026年3月以降の延長を視野に入れた「暫定的なもの」だとした。

現在の政策枠組みは潤沢な準備預金を前提としており「仮に日本銀行のバランスシートが現状のままであったとしても、政策運営には何ら制約や障害は生じない」と指摘した。その上で「バランスシートの縮小は十分な時間をかけて慎重に進めていくことが可能であり、それが市場の安定にとっても望ましい」と話した。

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