- 2024/07/12 掲載
「新時代」のプライベートクレジット、透明性欠如=ムーディーズ
[11日 ロイター] - 米格付け会社ムーディーズは、プライベートクレジット市場が従来の領域を超えて拡大する「新時代」に入っており、不透明な性格が浮き彫りになっていると指摘、規制当局が米経済に対する将来のリスクを懸念する可能性があるとの報告書を11日にまとめた。
報告書では規制当局や業界団体の見解が引用されている。
プライベートクレジットでは、ノンバンクが貸し手となり主に中堅企業(ミドルマーケット)に非公開市場で融資する。銀行は数年前からこうしたノンバンクとの競争激化に見舞われている。
ムーディーズによると、最近はプライベートクレジットの貸し手が投資家の需要拡大を背景に、資産担保融資などミドルマーケット以外のオルタナティブ融資に進出。銀行も対抗して融資を増やしており、プライベートクレジットの貸し手は投資収益の低下を受けて、投資適格級の資産担保融資など新たな事業機会を模索している。
「この非常に多様な資産クラスは、売掛債権やリースから得られる広範囲なキャッシュフローに支えられており、ミドルマーケット融資の潜在的な成長力をしのいでいる」という。
ムーディーズによると、規制当局はこうしたプライベートクレジットの成長の「新時代」が「リスクの相互連関の拡大」を引き起こすと懸念。特に銀行や保険会社がプライベートクレジットの貸し手と提携したり、貸し手の資金調達に参加している点が懸念要因という。
プライベートクレジット部門を持つ上場大手オルタナティブ資産運用会社4社(ブラックストーン、KKR、アポロ、カーライル)のクレジット運用資産は2019年第4・四半期のわずか4810億ドルから24年第1・四半期には1兆3000億ドルに拡大した。
透明性の欠如も引き続き最大の課題の1つとなっている。米連邦高裁は5日、プライベート(私募)ファンドの透明性を強化する米証券取引委員会(SEC)の新規則を巡りファンド業界が提訴していた裁判で、規則がSECの権限を逸脱しているとして無効化する判決を下した。
ムーディーズはこの判決について「プライベートファンド業界の規制監督強化が遠のいた可能性を示唆」していると指摘した。
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