- 2024/07/12 掲載
日経平均が一時1000円超下落:識者はこうみる
◎健全なスピード調整、過度な警戒は不要
<SBI証券 投資調査部長 鈴木英之氏>
日経平均、東証株価指数(TOPIX)は昨日まで連日で史上最高値を更新しており、目先は短期的な過熱感や高値警戒感が漂っていた。上下ともに荒っぽい動きになるのは歴史的な上昇相場の典型的な動き。過度に警戒する必要はないと考える。
きょうは半導体などの主力株や金融株が利益確定売りに押されて大幅安となっているが、為替が円高に振れながらも自動車などの輸出関連株は小幅安にとどまっているほか、直近で売られていた防衛関連株は買い戻されている。また、日経平均とTOPIXなど主要株価指数が下落する中、東証グロース市場250指数、東証スタンダード市場指数は上昇。国内でも米国と同様、循環物色の流れが広がっている。きょうの株安は健全なスピード調整とみていいだろう。
来週もスピード調整の動きは続くとみている。ただ、日経平均は一進一退の動きになりながら、4万1000円台で値固めする展開となるだろう。米国では決算発表が本格化するので、業種や個別株の範囲内で日本でも材料視される可能性がある。
◎米CPIでいったん出尽くし、押し目買いの好機に
<しんきんアセットマネジメント投信 シニアファンド・マネージャー 藤原直樹氏>
米国市場で消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったにもかかわらずハイテク株が売られたのは、割高な水準にあっただけに、いったん出尽くしということだろう。
日経平均の前日までのハイペースな上昇や4万円を超える足元の水準を踏まえると、1000円程度の下落はノイズにすぎず、押し目買いの好機といえる。下げは深まらないとみている。ただ、再び上値を追うには、期待だけでなく業績が伴う必要がある。企業の堅調な業績を決算を通じて確認するまで、いったん様子見になる可能性はある。
8月に発表される4―6月国内総生産(GDP)がプラスとなり、実質賃金がプラスに転じて日銀の利上げに対する経済の耐性がついてくるようなら、国内企業の2ケタ増益も見えてくる。そのための準備期間といえる。
一方、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による議会証言では、リスクはインフレだけではないとの発言があった。前日の米ハイテク株安では景気懸念が意識された側面もあるかもしれず、米景気への目配りは必要だろう。
◎急上昇の反動、目先は4万1000円台維持か注目
<GCIアセットマネジメント ポートフォリオマネージャー 池田隆政氏>
相場で重しとなっているのは、金融株と半導体関連などのハイテク株で、このところ上昇が目立っていた銘柄に利益確定売りが出ているのがうかがえる。ハイテク株安は前日の米市場の流れをそのまま受けているようだ。昨日の米市場では米金利が低下する中でハイテク株が売られたが、利益確定売りが出やすいタイミングでドルが下落し、リスクオフの流れで売りが強まったとみている。
きょうの日経平均は1000円超値下がりする場面もみられたが、足元の上昇スピードは速かったため、値幅を伴って下落しても驚きはない。
プライム市場では7割近くが値上がりするなど、全体が崩れているわけではない。足元では、海外投資家による日本株買いもみられ、海外勢のセンチメントは強い。こうした海外からの資金流入も株価を支えそうだ。
米株の調整がいつまで続くかにもよるが、短期的な調整で終われば、日本株は再び底堅い動きとなるのではないか。目先の日経平均は4万1000円台を維持できるかが注目される。
*写真を差し替えました。
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