- 2024/06/09 掲載
貿易秩序の維持を=東大公共政策大学院の鈴木一人教授―G7・インタビュー(上)
―米欧は中国の過剰生産に問題意識が強い。
電気自動車や蓄電池などの過剰生産に対し、米国は関税をかけて経済安全保障上の重要なものを守る措置を決めた。欧州連合は気候変動対策と同時に産業政策を強化しようとしている。方針は異なるが対応は同様だ。
―日本の立場をどう見る。
供給を依存し過ぎない状態をつくるべきだと主張し、欧米とはニュアンスが異なる印象だ。ルールに基づく国際秩序の維持を目的とし、(重要物資の調達を)中国への依存から代替先にシフトし、リスクを減らすのが日本の経済安保だ。
―G7としての対応は。
中国の不公正な非市場的慣行は批判されるべきだ。ただ、米欧が自国を守るために関税をかけて阻止することは、経済安保というよりは保護主義。ルールに基づく貿易秩序をなんとか維持する方向に向かわせなければならない。
―中国は経済的威圧を強める。
昨年のG7広島サミットで踏み込んだ対外投資規制を含めた対抗措置が議論された。一方で、中国が重要鉱物の輸出管理を強化して供給網を不安定化させていることは問題だ。
―国際協調で日本の役割は。
重要鉱物や原材料を(多様な地域から)獲得しなければならず、G7はグローバルサウスに寄り添うことが大事だ。日本はアプローチができており、供給網の強靱(きょうじん)性を高めるためのモデルを見せることが最も有益な役割となる。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える東大公共政策大学院の鈴木一人教授=5月30日、東京都文京区
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