- 2024/05/16 掲載
アングル:ミーム株復活に歓喜といら立ち、21年との比較
[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米株式市場でミーム株が再び急騰している。ファンは歓喜し、懐疑的な向きはいら立ちを募らせているが、2021年のゲームストップ株急騰劇を引き起こしたソーシャルメディアの威力が健在であることが浮き彫りとなっている。
ゲーム販売のゲームストップの株価は、21年のミーム株人気の火付け役とされるキース・ギル氏が約3年ぶりにXへの投稿を再開したことを受けて、過去10営業日で340%上昇。
映画館チェーンのAMC、ヘッドホンメーカーのコス、食品保存容器のタッパーウェアなども軒並み高騰した。ゲームストップ同様、多くの銘柄は空売りが膨らんでおり、ファンダメンタルズもここ数年で悪化している。
フリーダム・キャピタル・マーケッツのチーフ・グローバル・ストラテジスト、ジェイ・ウッズ氏は「トレーダーとしては『狂っている』と言わざるを得ない」とし「初めてこの現象が起きた時は一種のムーブメントだったが、今回は『チャンスだ』『手っ取り早くもうけられるか試してみよう』という熱狂的な流行のように見える」と述べた。
復活したミーム株現象をチャートで簡単に確認してみよう。
ゲームストップをはじめとするミーム株は、このところの急騰にもかかわらず、21年に記録した上昇率にはまだ届いていない。ゲームストップ株は同年に一時1700%上昇。AMCは2850%、ブラックベリーの米上場株も280%近く値上がりした。
こうした銘柄の多くは空売り勢の標的になっている。
ゲームストップ株は今年、空売り残高の増加が続き、4月中旬には空売り比率が25%と、20カ月ぶりの高水準となった。株価の高騰が始まったのはその2週間後だ。
ただ、空売り比率は20年10月のピークを大幅に下回っている。取引所のデータによると、当時、ゲームストップの空売り比率は浮動株の約107%に達していた。
ミーム株高騰で空売り勢は大打撃を受けている。ORTEXテクノロジーズの推計によると、空売り勢の年初からの含み損はゲームストップ株だけで12億8000万ドルに達した。
ただ、ORTEXの共同設立者ピーター・ヒラーバーグ氏は、空売り勢が買い戻しを迫られる「ショートスクイーズ」(踏み上げ)が進行している気配はないと指摘。「スクイーズと呼ぶのは少し早いかもしれない」との見方を示した。
ミーム株急騰に伴い、オプション取引も急増。取引は株価上昇時に利益を得られるコール・オプションに集中している。
14日のゲームストップ株のオプション取引は81万8843枚と、21年3月以来の高水準。トレード・アラートのデータによると、AMC株のオプション取引は190万枚で、約9カ月ぶりの高水準だった。
バンダ・リサーチのシニア・バイスプレジデント、マルコ・イアキーニ氏によると、個人の取引は過去1カ月で急増しているが「ミーム株熱狂のピーク時にはまだ程遠い」という。
同氏は「ゲームストップ、AMCなど13日以降のミーム株の高騰では、個人の取引が大きな役割を果たしたとみられる」と述べた。
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