• 2024/02/23 掲載

遅れてきたブーム=小幡績慶大院教授―東京株式・識者インタビュー

時事通信社

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―日経平均株価が最高値を更新した。

本質的に史上最高値更新に意味はない。日本は歴史的な水準が高過ぎたので騒いでいるが、米国では常に更新されている。日本企業は新しいビジネスモデルを始め、株主に対するアピールの仕方も変化した。主要国に比べて出遅れていた日本株がブームになっている。

―今後の見通しは。

日本株ブームは今後も続く可能性があるが、足元の動きは異常なので、4万円にタッチして一息つくと思う。その時にまだ米国株が上がっていれば、日本株もさらに上がる可能性はある。

―長期低迷の原因は。

1990年代以降の株価低迷はテクニカルな要因が大きい。米国は指数の構成銘柄を積極的に入れ替えているが、日本は時価総額の大きい退屈な銘柄が残り、上がりにくい構造にある。

また、米国は配当せずに自社株買いで株主還元するが、日本は配当してしまうので表面上の株価は上がりにくい。デフレが続いたことも株価が上がらない要因だった。

―企業の変化は。

「失われた30年」で失われたのはビジネスモデルだ。バブルで日本はミスした。80年までの成功に酔い、バブルに浮かれて新しいモデルを考えるのをサボった。90年代はバブルの処理に追われ、2000年代はコストカットで新しいことをやる余裕がなかった。そうやって遅れた分を徐々に取り戻しつつある。ここ数年で急に投資家への(企業自身の)見せ方も変わってきた。

―日本経済の課題は。

「アベノミクス」は円安と株高をつくる政策で、株式市場の見せ方に関する改革は進んだが、日本経済の改革はほとんど進まなかった。これからは経済の中身をやるべきだ。

今一番のボトルネックは人手不足だが、少子化は社会的な現象なので政策では変わらない。その前提でお金をかけて質の高い教育を受けられるようにし、地道に良い人材を育てるしかない。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える慶応義塾大学大学院の小幡績教授=15日、横浜市内

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