• 2024/02/23 掲載

企業改革結実、バブルではない=斉藤惇元日本取引所グループCEO―東京株式・識者インタビュー

時事通信社

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―日経平均株価が1989年の最高値を超えた。

日本取引所グループ傘下の東証が2015年に指針を策定し、上場企業に企業統治改革を求めてきた効果が実り始めた。若い人の意見を採り入れ、多様性を重視し、社外取締役の監督を受ける素晴らしい経営体制を敷く企業が21年ごろから目に見えて増えてきた。海外投資家も「安全で民主主義国でもある日本に投資し直していい」と思い始めたのだろう。

―今後の株価は。

89年当時は、利益水準から見てもバブルだったとしか言いようがない。現在は企業収益に照らしても、そうではない。日本人が慢心に陥らなければ、株価はまだまだこんなものではないだろう。

―長いトンネルだった。

企業統治指針の導入には、産業界を含め抵抗も非常に強かった。産業再生機構では数多くの企業の再生に取り組んだが、不動産の価値評価一つをとっても、将来のキャッシュフロー(現金収支)から現在価値を見積もるといったノウハウがなく、米経済学の知見を採り入れた。当初は違和感を示す人も多く、個々の作業には時間を要した。

―企業統治改革は十分か。

かなり良くなったが、米国では年金運用者が委託者に最善を尽くすことを義務付け、違反者への罰則を定めた従業員退職所得保障法(エリサ法)が機能している。運用会社の独立も担保しており、日本でもこうした法律を採り入れてほしい。

―企業や現役世代に必要なことは。

賃金は人材投資であり、企業は抑え過ぎてはならない。人口減少と高齢化の社会を迎え、安心して暮らせる年金資産を株式運用などで確保していくことが大切だ。新NISA(少額投資非課税制度)を通じて若い人の間で広がっている「長期・リスク分散・積み立て」の投資行動は間違っていない。株高に舞い上がらず、腰を据えて取り組んでほしい。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える斉藤惇・元日本取引所グループ最高経営責任者(CEO)=22日、東京都千代田区

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