- 2024/02/21 掲載
春闘、ホンダとマツダが早期満額回答 トヨタは賃上げ初回回答せず
Maki Shiraki
[東京 21日 ロイター] - ホンダは21日、2024年春季労使交渉(春闘)で労働組合の要求に満額で回答した。マツダも組合要求に満額回答し、両社とも3月13日の指定日を待たず前倒しでの回答となった。
一方、昨年まで2年連続で初回時に満額回答を表明したトヨタ自動車は、この日の初回交渉で賃上げに言及しなかった。裾野の広い自動車産業の最大手である同社の動向は業界内外や中小企業の春闘の機運醸成にもつながるとみられており、2回目以降の交渉の行方が注目される。
<ホンダ、満額回答は4年連続>
ホンダの賃上げ額は、比較可能な1989年以降で過去最高となる。昨年同様、2回目の交渉で回答を示し、満額は4年連続。早期回答により「グループ企業への波及」も見込んでいる。
労組要求に対しては、過去の妥結原資を再配分する形で能力開発施策の原資として1500円も給料に組み入れた。労組の要求項目ではないが、非正規従業員(期間従業員)も平均5.3%(昨年は平均3.5%)の賃上げを実施する。
ホンダは初回交渉で「労使双方の課題認識が大枠で一致した」と説明。2回目の交渉で満額回答した理由について青山真二副社長は「全ての領域で意思を持って行動し、成果を出す従業員を増やすことで、それぞれの職場での変革につなげる」とした。
<マツダ、「過去に例のない大幅処遇改善」>
マツダはこの日が初回交渉だった。早期での回答は、2回目の交渉で妥結した05年以来。回答額は、現在の人事制度となった03年以降で過去最高となる。
竹内都美子執行役員は、回答は「過去に例のない大幅な処遇改善」と指摘。「将来の会社の持続的成長と、地域との共存共栄への貢献につながると考え、満額回答した」と説明した。賃上げと賞与の合計で6.8%の引き上げとなり、この水準は「市場の物価上昇率を上回るものと考えている」という。
<トヨタ労組、最高水準賃上げ要求>
トヨタは2回目の労使協議会を28日に行う予定。昨年は急激な物価上昇などに対応するため、2年連続で初回の交渉で満額回答の方針を表明、満額回答は3年連続だった。例年は労使協議を複数回重ねた上で、3月中旬の集中回答日に回答していた。同社の労組は物価高などを背景に、比較可能な1999年以降で最高水準の賃上げを要求している。
●自動車各社の要求額
24年の要求 昨年実績
ホンダ ベア1万3500円 1万2500円
制度上の定期昇給・昇格含め計2万円・5.6% 1万9000円・5.1%
賞与7.1カ月分 6.4カ月分
マツダ ベア相当の賃金改善分と定期昇給分で総額1万6000円 1万3000円
賞与5.6カ月分 5.3カ月分
トヨタ 定期昇給分とベア相当の賃金改善分を含む総額で1人当たり月7940円―2万8440円 月3570─9370円
賞与7.6カ月分 6.7カ月分
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