• 2024/02/16 掲載

日独逆転、低成長も響く=デフレ経済で悪循環―名目GDP4位

時事通信社

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日本の経済規模が2023年にドイツに抜かれ、世界4位に転落した。物価変動を加味した名目GDP(国内総生産)の米ドル換算で比較しているため、円安で日本のGDPが目減りした一方、ドイツは高いインフレ率で押し上げられたことが影響した。ただ、今回の逆転は長期にわたるデフレ経済の下で物価も賃金も上がらず、日本経済が停滞し続けた結果だとも言える。

高度経済成長期の「いざなぎ景気」に沸いていた1968年、日本の国民総生産(GNP)は当時の西ドイツを上回り、米国に次ぐ2位に浮上した。しかし、バブル崩壊で90年代後半以降、デフレの悪循環に陥って賃金や企業の国内投資が伸び悩み、成長率は低迷。2010年にGDPで中国に抜かれた。

国際通貨基金(IMF)のデータによると、物価変動の影響を除いた実質GDP成長率は、00年からコロナ禍前の19年までの年平均が0.8%の日本に対し、ドイツは1.4%成長と水をあけられた。この背景について、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、ドイツが東欧の需要や割安な労働力を取り込んだほか、製造業の高付加価値化に成功したことを挙げる。

人口減少で経済規模はさらに縮む。IMFの予測では、26年には人口規模が大きく、成長著しいインドに名目GDPで抜かれ、5位に転落する見通し。熊野氏は「小手先の経済対策ではなく、本腰を入れて成長率を上げなければならない」と警鐘を鳴らす。

最近の賃金や価格転嫁の動向から、内閣府幹部は「20年以上のデフレとの戦いは最終コーナーにきている」と、脱却への手応えを口にする。だが、内需の柱の個人消費や設備投資はコロナ禍後の回復が息切れし、23年10~12月期の実質GDPは2四半期連続のマイナス成長に陥った。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、デフレ脱却に向け、「賃上げの動きを粘り強く継続することが重要。賃金を上げ、企業の投資も増やす好循環が必要だ」と指摘した。

【時事通信社】

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