- 2025/04/23 掲載
世界の経済成長率、25年2.8%に下方修正 米関税で=IMF
[ワシントン 22日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は22日に最新の「世界経済見通し」を公表し、米関税の影響を理由に米国や中国など多くの国・地域の経済成長率予測を引き下げた。貿易摩擦が悪化すればさらに低下すると警告している。
世界経済の成長率予測について、2025年を2.8%、26年を3%とし、1月時点の3.3%(両年とも)からそれぞれ0.5ポイント、0.3ポイント下方修正した。
インフレ率は関税の影響で1月時点の予測よりも緩やかに低下すると予想。25年は4.3%、26年は3.6%とした。米国などの先進国については「顕著な」上方修正になるという。
IMFは、現状は極めて複雑かつ流動的だとして、この報告書を今月4日までの情勢に基づく「参考予測」と位置付けた。
チーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は記者団に「過去80年間機能してきた世界経済システムがリセットされ、われわれは新たな時代に入りつつある」と語った。
IMFによると、貿易摩擦の激化と将来の政策に関する「極めて高いレベルの」不確実性が世界の経済活動に重大な影響を及ぼす見込み。
グランシャ氏はロイターとのインタビューで「これはかなり重大で、世界のあらゆる地域に打撃となる。米国、ユーロ圏、中国、そして世界の他の地域でも成長率が低下している」と指摘。「米国と他国の間で貿易摩擦が激化すれば、不確実性はさらに高まり、金融市場のボラティリティーもさらに高まり、金融環境が引き締まるだろう」と述べ、これらの複合的な影響で世界経済の成長見通しはさらに低下すると付け加えた。
成長見通しの弱まりによりドル需要はすでに低下しているものの、これまでの為替市場の調整とポートフォリオのリバランスは秩序立ったものだったと評価。「『出口への殺到や駆け込み』は見られない。現段階では国際通貨システムの強靭性を懸念していない」と語った。
<米・ユーロ圏・中国・日本>
IMFは政策の不確実性と貿易摩擦を理由に、米国の今年の経済成長率予測を1.8%とし、0.9ポイント下方修正。26年についても0.4ポイント引き下げ、1.7%とした。24年実績は2.8%だった。
グランシャ氏は記者団に対し、IMFとして米国の景気後退を予測していないとしつつ、そうした確率は高まっていると指摘。また、関税に加え、サービス部門の基調的な力強さを背景に、25年の米総合インフレ率は3%に達すると予測しており、これは1月時点より1ポイント高い水準だと述べた。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が解任された場合の影響を尋ねられると、中央銀行が独立性を維持できることが「極めて重要」だと答えた。
IMFはこのほか、ユーロ圏の成長率が25年に0.8%、26年に1.2%になると予測。いずれも1月時点から約0.2ポイント下方修正された。
中国の成長率は25年と26年ともに4%と予測。それぞれ0.6ポイントと0.5ポイント引き下げられた。
貿易摩擦と関税の影響で今年の日本の成長率予測も1月時点より0.5ポイント押し下げられ、0.6%になる見通し。
PR
PR
PR