- 2024/02/03 掲載
米1月雇用35.3万人増と予想大幅に上回る、賃金の伸び約2年ぶりの高さ
Lucia Mutikani
[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が2日発表した1月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比35万3000人増と、伸びは市場予想の18万人を大幅に上回った。賃金も約2年ぶりの上昇率を記録した。労働市場は勢いを維持しており、米連邦準備理事会(FRB)が市場の観測通りに5月に利下げに踏み切るにはハードルが高い可能性がある。
2023年11・12月分の雇用者数は計12万6000人増に上方改定された。
FHNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は、パウエルFRB議長が今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で述べたように「FRBが力強い雇用の伸びを望んでいることを踏まえると、今回の雇用統計を受け、FRBが利下げを思いとどまるとは思わない」と指摘。 同時に「利下げを急ぐことを後押しするものでもない」と述べた。
底堅い経済と力強い労働生産性により、企業による新規採用や雇用維持が促進された可能性がある。雇用の伸びは引き続き、労働年齢人口の伸びを維持するのに必要な月間約10万人を上回っている。しかし、年次ベンチマーク改定に伴い、23年3月までの12か月間の雇用者数は当初発表から計26万6000人下方改定された。
時間当たり平均賃金は前月比0.6%上昇と、前月の0.4%上昇から加速し、22年3月以来の大幅な伸びとなった。
前年同月比でも4.5%上昇。12月は4.3%上昇だった。前年比での賃金の伸びは依然コロナ禍前の平均、および大半のFRB当局者がインフレ目標と一致すると見なす3.0─3.5%のレンジを大きく上回っており、3月の利下げ開始は早すぎるという見方を裏付けている。
1月の失業率は3.7%だった。12月も3.7%だったが、新たな人口推計が家計調査に組み込まれ、そこから失業率が算出されているため、直接的な比較はできない。
金融市場では、FRBが4月30日─5月1日の会合で利下げに着手する確率が60%近辺に低下した。雇用統計発表前は約90%だった。
1月の雇用は業種別では、専門職・ビジネスサービスが7万4000人増、ヘルスケアが7万人増、小売が4万5000人増、製造が2万3000人増、政府が3万6000人増、人材派遣が3900人増。
国際貨物輸送大手の米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)が最近発表した1万2000人の削減計画など、一部企業は人員削減に動いているものの、LPLファイナンシャルのチーフコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「最近の人員削減の大半は需要低迷ではなく、コスト削減によるもの」とし、「これは、マクロ的な逆風や成長期待に対する不確実性にもかかわらず、企業が良好な状況にあることを意味する」と述べた。
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