- 2024/02/02 掲載
中国株下落でマージンコール増加、保有株売却への懸念強まる
中国株式市場の優良株で構成するCSI300指数は1月に6.3%下落し、5年ぶりの安値を付けた。政府が一連の支援策を打ち出したが、景気低迷で投資家心理が悪化している。
株価が下落する中、上場企業の大株主は保有株を担保とした融資でマージンコールに直面している。
浙商証券の試算によると、これに伴って売却を迫られるリスクのある株式は総額1836億元(260億ドル)相当で、昨年11月末から26%増加した。
また、信用取引で株式を購入していた投資家も、株価下落でマージンコールに直面。こうした投資家は1月中旬に436億元相当の株式の売却を迫られたという。
上海の大手証券会社の関係者は「われわれは毎日、マージンコールを行っている。相場の下落が続いているため、マージンローン(証券担保融資)を返済し、投資をやめた人もいる」と述べた。
国泰君安証券は、株価が現在の水準からさらに10%下落すれば、1000億元近いマージンコールが発生すると予想。さらに20%下落すれば、約3600億元相当の株式が売却される可能性があると試算している。
<揺らぐ投資家心理>
確かに、2015年の中国株バブル崩壊時に比べると、信用取引総額は減少している。規制当局もシャドーバンキング(影の銀行)を通じた不正融資を取り締まっている。
投資家は急速にレバレッジの解消を進めており、マージンローン残額は1月に1000億元近く減少し、1年ぶりの低水準となる1兆5500億元となった。ピークを付けた15年の水準を30%下回っている。
現在のマージンローン残額は中国株式市場の時価総額の2.3%に相当する。
ただ、中国経済は新型コロナウイルス後の景気回復のもたつき、不動産危機の深刻化、地政学的な緊張に見舞われており、レバレッジの解消はすでに脆弱な投資家心理をさらに揺るがしかねない。
大手証券会社の上海支店に勤務するある関係者は、毎日、十件以上のマージンコールを行っているとし「大半の顧客は追加の担保を差し入れるか、資金返済のため保有株を売却している」と述べた。
上場企業の大株主の間でも、保有株を担保とする融資で銀行や証券会社のマージンコールに直面する例が増えている。
今年はこれまでに上場企業100社近くが、大株主が追加の担保を差し入れたと表明。保有株の売却を迫られるリスクはまだないと強調している。
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