- 2024/01/23 掲載
消費者物価の基調的な上昇率、見通しの実現確度は少しずつ高まっている=日銀展望リポート
Kentaro Sugiyama
[東京 23日 ロイター] - 日銀は23日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、物価の基調的な上昇率は見通し期間終盤にかけて「物価安定の目標に向けて徐々に高まっていく」との見方を示した。日銀は先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は「引き続き少しずつ高まっている」との文言を追加した。
日銀は2024年度の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを2.4%とし、前回の2.8%から引き下げた。原油価格下落の影響を主因。一方、25年度は1.7%から1.8%へ上方修正した。
物価の基調をより反映した生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの上昇率見通しは、24年度、25年度ともに1.9%で据え置いた。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、マイナス金利解除に向けて「リーチがかかっている」物価見通しの数字の並びが維持されたと指摘。文言を追加したことについて、マイナス金利解除へ日銀が「じわりと前進している」との見解を示した。
<企業の賃金・価格設定行動、「上下双方向に不確実性が高い」>
経済・物価の見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価や資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、不確実性は「きわめて高い」と指摘した。「金融・為替市場の動向や、そのわが国経済・物価への影響を十分注視する必要がある」とした。
物価見通しに限ったリスク要因は前回と同様、企業の賃金・価格設定行動と、為替変動や国際商品市況の動向、輸入物価や国内価格への波及を挙げた。
企業の賃金・価格設定行動は「上下双方向に不確実性が高い」と指摘。今後の原材料コストの上昇圧力や企業の予想物価上昇率の動向次第では価格転嫁が想定以上に続き、物価が上振れる可能性があるという。
昨年の春闘は前年を大きく上回る賃金上昇率となったものの、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が根強く残り続ける場合、先行きは賃上げの動きが想定ほど強まらず、物価も下振れる可能性があるとしている。
日本の景気の現状については「緩やかに回復している」と指摘。輸出や鉱工業生産は横ばい圏内の動きとした。個人消費は物価上昇の影響を受けつつも緩やかな増加を続けているとした。
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