- 2024/01/20 掲載
ダイハツ、立て直しへ正念場=出荷停止一部解除も課題山積
ダイハツ工業の認証試験不正で、同社のすべての国内出荷が停止して20日で1カ月。国土交通省は「看過し難い悪質な不正」と断じて是正命令を出した。同省は19日、安全性を確認した5車種の出荷停止指示を解除したが、信頼回復に向け課題は山積。親会社トヨタ自動車の責任も重く、グループを挙げた再建は正念場を迎えている。
「立て直しを一緒にやっていく」。トヨタの長田准執行役員は18日、記者団の取材に応じこう強調した。トヨタは2016年にダイハツを完全子会社化し、両社は「新興国小型車カンパニー」を設立。小型車はダイハツ主体で製品開発を進める形になり、現場への負担が一段と増した。
第三者委員会の報告書は、海外事業への関与拡大も無理な短期開発の一因と指摘。従業員アンケートでも「トヨタの期待に応えるために、身の丈に合わない開発をリスクを考えず推し進めたことが大きな要因」との声が上がった。長田氏は、海外生産体制などをグループ全体で見直し、ダイハツの事業再編を進める考えを示した。
一部車種で出荷再開への道が開け、ダイハツは「販売会社や仕入れ先と連携しながら準備を進める」方針だ。ただ、停止指示解除5車種はトヨタブランドを含め23年1~11月の販売台数が7万台弱にとどまる。全面再開は依然見通せない。
ダイハツとトヨタ、スズキの3社で開発し、23年度内に発売予定だった商用軽バン電気自動車は、ダイハツが生産する計画だったため延期になるなど影響は協業先にも及ぶ。部品会社や販売会社への補償などにも迅速な対応を迫られている。
ダイハツは、2月中旬までに国交省へ提出する再発防止策に事業再編と経営陣刷新を盛り込む。東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは、認証不正が突き付けた課題に「トヨタから送り込まれたエンジニアも巻き込みながら、早急に取り組む必要がある」と指摘している。
【時事通信社】 〔写真説明〕ダイハツ工業の本社工場=2023年12月26日、大阪府池田市
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