- 2024/01/19 掲載
アングル:ビットコイン現物ETF、3日で19億ドル流入 活況続くか不透明
[18日 ロイター] - 代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコインの現物を運用対象とする上場投資信託(ETF)が11日、米国の取引所に新規上場した。投資家が強い視線を注ぎ好調な滑り出しとなったものの、活況が今後数週間続くかどうかは不透明だ。
取引開始から3営業日で計19億ドル流入―。新規上場9本の現物ETFに吸い寄せられた資金総額という。発行体やアナリストのデータに基づいた数値だ。
これまで記録的だったのは2021年にビットコイン先物ETFとして初登場したプロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF。上場後3日間に計12億ドルが流入した。金価格連動のSPDRゴールド・シェアETFも3日間で11億3000万ドル(04年発行)を引きつけたが、ビットコイン現物ETFがあっさり抜き去った形だ。
<先行きに不透明感も>
市場では、暗号資産がボラティリティーで悪名高いだけに、現物ETFに個人投資家や機関投資家の関心をどの程度長く引き寄せられるのか、またどの発行体が先行するのか見通せないとの声が出ている。
ストラテガスのETFアナリスト、トッド・ソーン氏は「これまでのところ、(ビットコイン現物)ETF発行は誇大広告のようだ。問題は(活況の)持続力で、6カ月後、あるいは6年後の取引規模はどうなっているかということだ」と話す。
一方で強気のアナリストらは、24年末までにビットコイン現物ETFに流入する投資資金の総額が500億―1000億ドルに達する可能性があると予想する。
新規上場の現物ETFのうち6本のパフォーマンス評価の指標を提供するCFベンチマークスのスイ・チュン最高経営責任者(CEO)は「手数料が成功の鍵」と明言する。安ければ投資家への訴求力が高まるのは当然で「(運用会社や銘柄の)ブランド力も重要」と指摘する。
<半年間は手数料ゼロも>
今回の新規上場9本の現物ETFは、発行体やアナリストのデータによれば、米資産運用大手ブラックロックとフィデリティが投入したものに投資資金が殺到し、大宗を占めたという。
暗号資産の分析を手がけるBitMEX(ビットメックス)リサーチによると、現在までのところ安い手数料と認知度の高さが資金を引き寄せる決め手になったようだ。ブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラストETFは7億ドル以上を集め、フィデリティのワイズオリジン・ビットコイン・ファンドは5億ドルを超えたという。
両社が求める手数料は、調査会社モーニングスターが計算した平均的なETF手数料の半分以下。フィデリティの場合、今後約半年間は手数料が無料だ。
ただ、ビットコイン現物ETFが市場で定着するには、年金基金などの機関投資家や投資アドバイザーが運用商品として認めることが次のハードルとして待ち構えていそうだ。
ギャラクシー・デジタルの資産運用責任者、スティーブ・カーツ氏は、先週のETF発行に先立ち、「ポートフォリオでこれらをどう扱うかという問題は新商品のデビューを巡る多くの雑音でかき消されてしまった」と述べていた。
現物ETFの資産配分はどの程度ならば適切かなどの事柄は今後6カ月で焦点化する見通しという。
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