- 2024/01/09 掲載
NY市場サマリー(8日)ドル下落、利回り低下 ナスダック大幅高
ワシントンのマネックスUSAの外為トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「5日に発表された12月の雇用統計は強弱まちまちだった。ヘッドラインの数字は間違いなく良好だったが、中身を見ると労働市場の弱さを示す多くの数字も見受けられた」と指摘。市場では11日に発表される12月の消費者物価指数(CPI)が注目されている。
米国の物価情勢を巡っては、ニューヨーク連銀がこの日に発表した12月の消費者調査で、1年先のインフレ期待が3%と、2021年1月以来約3年ぶりの低水準となった。
市場ではFRBは3月に利下げに着手すると予想されているが、その確率はこのところ低下。CMEフェドウオッチによると、短期金融市場が織り込む3月に利下げが実施される確率は64%と、1週間前の89%から低下した。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁はこの日、物価上昇によるリスクと雇用の伸び悩みによるリスクとの間で経済全体のバランスが取れてきたとはいえ、インフレ抑制を確実に継続させるため、引き締めの姿勢を崩していないと述べている。
終盤の取引で、主要6通貨に対するドル指数は0.23%安の102.21。
ユーロ/ドルは0.19%高の1.09595ドル。
ドル/円は0.35%安の144.10円。
市場関係者は、能登半島地震の発生を受け日銀の利上げの時期が後ずれする可能性があると指摘。ナットウエスト・マーケッツの経済・市場戦略のグローバル責任者、ジョン・ブリッグス氏は「地震が発生したことで、月内に予想されていた日銀の政策微調整が後ずれする可能性がある」と述べた。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは7.1%高の4万7065ドルと、22年4月以来の高値を更新した。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが低下した。ニューヨーク連銀が8日発表した12月の消費者調査で1年先のインフレ期待が3%と約3年ぶりの低水準となったことが影響した。
日本が祝日であることや、経済指標の発表が少なかったため、出来高は通常より少なかった。
アナリストは、サウジアラビアによる大幅な原油価格引き下げと石油輸出国機構(OPEC)加盟国の生産量増加もインフレ期待を後退させ、利回りを押し下げると指摘した。 午後の取引では、指標となる10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)低下の4.011%となった。
投資家は、今週行われる米国の3年債、10年債、30年債の入札や、社債の大量発行に注目している。BMOキャピタル・マーケッツは、供給が値動きを左右する「非常に大きな役割」を果たすとの見通しを示した。
30年債利回りは2.9bp低下して4.17%。2年債利回りは2.9bp低下の4.013%となった。2年債と10年債の利回り格差はマイナス34.5bpだった。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、3月に利下げが実施される確率を64%織り込んでいる。
米アトランタ地区連銀のボスティック総裁はこの日、引き締めの姿勢を崩していないと述べ、早ければ3月にも利下げが始まるという市場の期待を退けた。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> ナスダック総合が今年初めて1%以上上昇して取引を終えた。米国債利回り低下を受けて大型株が買われた。一方、航空機大手ボーイングの急落が重しとなり、ダウ工業株30種は小幅な上げにとどまった。
米国債利回りが週内の入札やインフレ統計発表を控えて低下し、大型株が上昇。アマゾン・ドット・コムが2.66%高、アルファベットが2.29%高となった。
仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を融合させたゴーグル型デバイス「Vision Pro(ビジョンプロ)」を米国で2月2日に発売すると発表したアップルも2.42%上昇した。
また、半導体大手エヌビディアが6%超、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が5.48%、それぞれ大きく上昇し、フィラデルフィアSE半導体指数が3.28%高となった。
USバンク・ウェルス・マンジメントの資本市場調査責任者、ビル・メルツ氏は「目先は間違いなく利回り主導の相場だ。投資家は今後の利下げの時期や回数、規模を見越そうとしている」と述べた。
ナスダックとS&P総合500種の上昇率は12月21日以降初めて1%を超え、11月14日以来の大きさとなった。
ボーイングは8.03%急落。アラスカ航空運航のボーイング「737MAX9」が飛行中に側壁の一部が吹き飛び緊急着陸した問題を受け、米連邦航空局(FAA)は安全点検のため同型機の一部に対し運航停止を指示した。
S&P500の主要11セクターでは、エネルギーが唯一下落。サウジアラビアによる大幅な価格引き下げを受け、原油先物が3%超値下がりした。
S&P500は先週、強弱まちまちの経済指標を受けて積極的な米利下げ観測が後退する中、週間で10週ぶりに下落していた。
市場は今週発表の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)を注視している。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米早期利下げ期待が後退する中を売りが優勢となり、続落した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前週末比16.30ドル(0.80%)安の1オンス=2033.50ドル。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 中東情勢の緊迫化に伴う供給不安が和らぎ、大幅反落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前週末比3.04ドル(4.12%)安の1バレル=70.77ドル。3月物は2.94ドル安の70.92ドルだった。
サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコは7日、主要油種アラブ・ライト原油の2月のアジア顧客向け公式販売価格(OSP)を大幅に引き下げ、2021年11月以来の水準に設定。これを受け、中国などの需要が鈍化しているのではないかとの警戒感が広がった。
また、ロイターが5日に公表した調査で、23年12月の石油輸出国機構(OPEC)の石油生産が前月比で日量7万バレル増加したことが明らかになった。イラク、アンゴラ、ナイジェリアの産油量が増え、サウジなどの減産分を相殺した。これを受け、紅海の治安悪化に伴う供給混乱をにらんだ買いが一服。相場は早朝以降、じりじりと下げ幅を拡大した。ただ、パレスチナ自治区ガザでの戦闘が周辺国に拡大するとの懸念も根強く、節目の70ドルの付近では買い支えが入り、終盤にかけて幾分持ち直した。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 144.22/144.24
始値 144.58
高値 144.70
安値 143.67
ユーロ/ドル NY終値 1.0949/1.0953
始値 1.0936
高値 1.0978
安値 1.0938
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 109*19.00 4.1839%
前営業日終値 109*10.00 4.2000%
10年債(指標銘柄) 17時05分 103*26.00 4.0267%
前営業日終値 103*22.00 4.0420%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*30.25 3.9856%
前営業日終値 98*27.00 4.0080%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.50 4.3746%
前営業日終値 99*23.50 4.3910%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 37683.01 +216.90 +0.58
前営業日終値 37466.11
ナスダック総合 14843.77 +319.70 +2.20
前営業日終値 14524.07
S&P総合500種 4763.54 +66.30 +1.41
前営業日終値 4697.24
COMEX金 2月限 2033.5 ‐16.3
前営業日終値 2049.8
COMEX銀 3月限 2331.0 ‐0.5
前営業日終値 2331.5
北海ブレント 3月限 76.12 ‐2.64
前営業日終値 78.76
米WTI先物 2月限 70.77 ‐3.04
前営業日終値 73.81
CRB商品指数 261.6486 ‐4.2633
前営業日終値 265.9119
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