- 2024/01/05 掲載
経済団体に賃上げ要請、「国民に実感してもらう年に」=岸田首相
Miho Uranaka
[東京 5日 ロイター] - 岸田文雄首相は5日、経団連など経済3団体の新年会で物価上昇を上回る所得増を目指して、企業に対し「力強い賃上げ」を実現するよう呼びかけた。24年について、これまでの取り組みの成果を形にし、「国民に実感してもらう年にする」と述べた。
岸田首相は、昨年30年ぶりの水準となった賃上げ、投資、株価の水準を指摘し、「流れを後戻りさせることなく、確かなものにするため、あらゆる手立てを尽くす」と強調。賃上げの鍵を握る中小企業では、賃上げ税制を赤字法人が使えるよう強化する。あわせて夏には、春闘の賃上げと所得税減税を組み合わせることなどで、「可処分所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実に作る」との考えを示した。
先にあいさつした経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は、継続して賃上げに取り組む意向を表明し、今年の春季労使交渉には「昨年以上の熱量と決意で取り組む」と語った。
十倉会長は「昨年来、日本経済は継続的な賃金引き上げのモメンタム、投資や消費の拡大などに支えられ、持続的な経済成長の実現に向けた力強い一歩を踏み出している」とした上で、2024年は、賃金引き上げの「上向きのモメンタムを加速させ、成長と分配の好循環の実現を目指し全力で取り組む」と話した。「構造的な賃金引き上げなどの実現を目指す」とも語った。
新年会後の記者会見では、経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス社長)が、4月以降に去年を上回る賃上げが起こると指摘し、賃上げ継続を社会通念にするため、「大企業では今年5%以上の賃上げが重要」との認識を示した。
全国の中小企業をまとめる日本・東京商工会議所の小林健会頭は「賃上げの原資が枯渇してきているのが偽らざる現状」と話す。中小企業の中には、原資はほとんどないが、人材確保のために賃上げをする、いわゆる防衛的な賃上げも多いという。原資確保のため、生産性の向上や原価の価格適正化が重要とし、大企業との連携をさらに強めていきたいとの意向を示した。
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