- 2024/01/04 掲載
「金利ある世界」もリテール軸=リスク分散を重視―東りそな前社長
日銀が大規模な金融緩和策の修正にかじを切り、長く続いた超低金利時代の終わりが見え始めた。金融機関は、融資の利ざや改善が見込める「金利のある世界」にどう向き合うべきか。20年前に実質国有化されたりそなホールディングスの再建に奔走した東和浩前社長(現シニアアドバイザー)はインタビューで、今後の銀行経営について「リスクの小口分散が一番重要な考え方だ」と述べ、住宅ローンなど小口のリテール業務に軸足を置く重要性を訴えた。
りそなは2003年、公的資金の注入を受けて国の管理下に置かれた。不動産会社など大口融資先の不良債権が膨らんだ結果、財務の健全性を示す自己資本比率が低下した。この教訓から、個人や中小企業向けの小口融資をはじめとするリテール分野を拡大。東氏は「時間はかかるが、コツコツやっていくことが重要だ」と指摘する。
長期にわたって安定した利ざやを稼げる大口融資は効率的に収益を上げられる半面、景気に急ブレーキがかかれば不良債権の処理費用が一気に膨らみかねない。08年のリーマン・ショック後、大企業向け融資の比重が大きいメガバンクが軒並み赤字に転落したのに対し、りそなは黒字を確保した。東氏は「リテール業務は体力的に強い」と振り返るとともに、「最悪の事態」に備えるべきだと語った。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答えるりそなホールディングスの東和浩前社長=2023年12月、東京都江東区
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