- 2024/01/04 掲載
EV開発加速へ重点投資=スピード重視、中国勢に対抗―日系メーカー
国内自動車メーカーが、電気自動車(EV)の開発加速へ設備投資を急いでいる。「車離れ」が進む若い世代を取り込むには、デザインやサービスに内外のトレンドを迅速に反映させることが不可欠。スピードに勝る比亜迪(BYD)など中国勢に対抗するため、時間をかけて「完璧」を目指す従来の発想の転換に挑んでいる。
「日本のEVの未来をここから始める」。2023年10月、24年春に発売予定の新型セダン「SEAL(シール)」を東京都内で披露したビーワイディージャパン(横浜市)の劉学亮社長は、自信たっぷりにこう語った。日本向けEVとしてはすでに3車種目で、失敗を恐れず短期間で新車をつくる新興メーカーの強みを見せつけた。
これに対し、日本勢もようやく開発のスピードアップに本格着手。SUBARUは次世代EVの開発拠点として、約300億円を投じて群馬製作所(群馬県太田市)に「イノベーション・ハブ」を新設した。背景には、「スバルがなくなってしまうとの危機感」(草深英行技術本部副本部長)がある。
吹き抜けの広い空間は、開発や製造部門、取引先が一堂に会する場と位置付けた。米国拠点や本社とつないだ大型スクリーンには複数の実物大の試作車が映し出され、市場投入に向けた比較や意思決定を迅速化。新拠点を活用し、開発期間を半減させる計画だ。
日産自動車は神奈川県厚木市に新設したプレゼンテーションホールに、デザイナーの五感を刺激するような湾曲した巨大スクリーンや音響システムを設置。ここでも各国からの試作車を一斉に表示するなど開発期間短縮を目指している。
自動運転技術の進展で、映像やゲームといった車内エンターテインメントの重要度も増している。「中国勢はソフト開発も相当進んでいる」(国内大手幹部)とされる中、トヨタ自動車は中国での現地開発を強化。日産も若者らのニーズを探るため、現地の清華大学と共同研究センターを設立した。「先進国」のノウハウも学びながら、反転攻勢をうかがっている。
【時事通信社】 〔写真説明〕日産自動車が新設した「デザインプレゼンテーションホール」。湾曲した大スクリーンが特徴=2023年10月3日、神奈川県厚木市 〔写真説明〕SUBARUが新設した開発拠点「イノベーション・ハブ」。吹き抜けのオープンスペースを集いの場に=2023年12月14日、群馬県太田市
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