- 2023/09/17 掲載
物流ロボ市場が活況=倉庫で活躍、「24年問題」も追い風
商品や部品を自動で運ぶロボットを倉庫や工場に導入する動きが企業で広がってきた。電子商取引の拡大や人手不足で物流の効率化は待ったなしの課題。来年度からトラック運転手の残業時間に上限規制が導入される「2024年問題」も追い風に、物流ロボ市場が活況を呈している。
米インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムは、8月下旬に稼働を始めた千葉市内の大型物流拠点に、同社では国内最大規模となる約2600台の自走式搬送ロボットを導入した。3万台超ある商品棚の中から、注文を受けた商品が入った棚をロボットが持ち上げ、商品を取り出す従業員の元に自動で運ぶ。
従業員が棚まで歩くより、商品の棚入れや棚出しが短時間ででき、「商品在庫を最大約40%多くできる」(担当者)のが利点。アマゾンはこのシステムを開発した米企業を12年に買収し物流拠点への導入を推進、日本でも加速させる構えだ。
こうした物流ロボはAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)と呼ばれ、世界的に需要が急増。富士経済の予測では、国内の関連市場規模は30年に約1189億円と昨年(約384億円)の3倍に膨らむ。
24年問題も市場拡大を後押しする。物流の停滞を回避するには、トラック運転手の拘束時間の2割を占める荷待ちや積み下ろし時間の削減が不可欠で、庫内作業の効率化が求められるためだ。
勢いがあるのは海外メーカー。中国から17年に進出したギークプラス(東京)は、21年の棚搬送用AGV販売額が国内トップ。出荷効率が「4~5倍に向上する」(担当者)といい、これまでビックカメラ、アスクル、米ナイキなどの国内拠点に計2000台超を導入した。仏ベンチャー、Exotecの自動倉庫システムは、ユニクロや三井不動産が採用している。
量産型ロボットでは対応が難しい顧客へのカスタマイズに注力する日本メーカーもある。輪転機大手の東京機械製作所は、本業の技術を生かし、悪路や雨天時の屋外でも使えるAGVを開発。オーダーメードでフォークリフトや搬送品格納といった機能を付け、多様なニーズに応える。「ロボット市場には大きな活路が生まれる」(幹部)と収益の新たな柱に据え、今後3年で売り上げを10億円へ倍増させる計画だ。
【時事通信社】 〔写真説明〕東京機械製作所が開発したAGV(無人搬送車)。フォークリフト機能(写真上)や格納機能(写真下)を取り付けるなど用途に応じてカスタマイズできる(同社提供) 〔写真説明〕東京ビッグサイトで開かれた国際物流総合展で展示されたギークプラスのAGV(無人搬送車)(右下)=13日、東京都江東区 〔写真説明〕アマゾン・ドット・コムの千葉市の物流拠点に導入された自走式搬送ロボット(中央)。商品が入った棚を持ち上げて施設内を移動する(同社提供)
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