- 2023/09/14 掲載
マツダ、電動化で「ロータリー」復活=高出力生かし新型PHV
マツダが、一世を風靡(ふうび)した「ロータリーエンジン」を発電機として復活させた。小型で高出力という性能を生かし、コンパクトなプラグインハイブリッド車(PHV)「MX―30
ロータリーEV」に搭載、14日から予約販売を開始した。価格は423万5000円から。欧米や中国で電気自動車(EV)シフトが加速する中、独自の電動化戦略で生き残りを図る。
自動車好きの支持を集めたロータリーだが、燃費の悪さから2012年に量産を終了した。しかし、「発電機」として使えば通常のエンジンより省スペースで車体に収めることができる点に着目。「電動化の時代にロータリーに力を入れている場合ではない」との声も出たが、「ロータリーEVは次世代に向けたマツダのスピリッツだ」(小島岳二専務)と、PHV向けに開発を進めた。
燃料タンクやバッテリーの配置は、EVやガソリン車とできる限り共通化し、同じラインで生産できるよう設計した。省スペースのロータリーだからこそ、PHVのラインアップを増やすことも可能。さらに、同じラインでEVも生産できるため、今後の多様な電動化戦略につながる。
世界的なエネルギー価格高騰や電池価格の上昇を背景に、PHVを見直す機運も高まっている。米経営コンサルティングのアリックスパートナーズによると、新車販売に占めるPHVの割合は27年に欧州で11%(EVは25%)、中国で13%(同39%)と一定の需要を見込む。今月ドイツで開催された国際自動車ショーでは、欧州メーカーが相次ぎPHVの新モデルを発表した。
国内では、三菱自動車の「アウトランダー」が堅調。国内販売全体でPHVは1%程度にとどまるが、マツダは長距離ドライブ時にバッテリー切れの心配が少なく成長の余地はあると判断する。
自動車アナリストの中西孝樹氏は「一時は意義が後退したと思われたPHVだが、エネルギー危機や電力不足、電池の高騰で復調してきた」と指摘。「発電機としての性能も高く、マツダのような(規模の小さい)ニッチ・ポジションの企業が独自性を打ち出せるチャンスだ」と評価する。
【時事通信社】 〔写真説明〕マツダが予約販売を開始したプラグインハイブリッド車(PHV)「MX―30
ロータリーEV」(同社提供) 〔写真説明〕マツダがロータリーエンジンをプラグインハイブリッド車(PHV)発電機として復活させた1号機=9月5日、広島県府中町 〔写真説明〕ロータリーエンジンを搭載したマツダの「RX―7」(同社提供) 〔写真説明〕マツダが発電機として復活させたロータリーエンジンの製造工程=9月5日、広島県府中町
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR