- 2023/09/13 掲載
アングル:米ビッグ3労組がスト計画、日本勢に「漁夫の利」の思惑
[東京 13日 ロイター] - 米国の自動車労組によるストライキの計画が伝わる中、東京市場では日系自動車メーカーが「漁夫の利」を得るとの思惑も聞かれ株価は底堅く推移している。一方、賃上げ圧力が波及する可能性やスト後の競争激化など反動を警戒する声もある。
<2週間スト継続なら新車価格上昇>
12日の東京市場で注目されたのは、業種別値上がり率ランキングでトップとなった輸送用機器だ。完成車メーカーを含む同セクターは輸出関連の代表格とされ、ドル/円の値上がりが業績押し上げの思惑につながりやすい。この日のドル/円は前日の大引け時点から約50銭の上昇にとどまったが、同セクターは2%と大きく上昇。13日の前場も日経平均が反落する中、比較的しっかりとした値動きとなった。
トヨタ自動車などの日系メーカーは、生産回復や販売好調が意識されるほか、円安の押し上げもあって好業績への期待がある。これらに加え「ビッグ3(米3大自動車メーカー)の労組がストに突入したら、需要が強い中で生産が止まることになり、日系メーカーが販売を伸ばす余地が出てくるとの思惑も一定程度、ありそうだ」と大和証券の林健太郎シニアストラテジストは話す。
現行の労働協約は14日に期限を迎える。労組側はこの時点までに合意できなければ3社一斉でストを行う方針を示している。米調査会社JDパワーによると、ストが2週間程度続いた場合、新車の価格が2%弱上昇する可能性がある。JDパワーのタイソン・ジョミニー副社長によると、国内ブランドが早々に在庫切れとなれば、トヨタやホンダ、フォルクスワーゲン(VW)などのメーカーが恩恵を受け得るとみられている。
ストを回避したとしても、ビッグ3は賃金上昇によるコスト負担が増えることで「長い目でみても、コスト競争力で日系メーカーと差がついてくるとの思惑もあるのではないか」(大和証券の林氏)という。
東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは、企業側と労組の主張に隔たりがあり、ストが長期化する場合には、日系メーカーは「値引きせずに有利な販売ができる可能性があり、利益率が高まるかもしれない」と話す。
日系メーカーが生産調整時に抱えたバックオーダー(受注残)は解消されておらず、ビッグ3の減産分を補うには限りもある。一方で新車市場がシュリンクすれば、中古車価格の値上がりが見込まれ、過去にリースで新車販売した車両に設定した残価に対し、プラスの差額が生じるようなら、販売金融の面でもプラスに作用し得るという。
<反動のリスク>
もっとも、米自動車産業の人手不足は続いているほか、自動車向け電池工場などの建設計画もあり、賃上げ圧力は高止まりが見込まれる。日本車メーカーの労組はUAWと距離があるが、ビッグ3の労組がストで賃上げに成功した場合、日系メーカーが賃上げ圧力の火の粉をかぶりかねないとの見方もある。
仮にビッグ3の労組がストに突入して日系メーカーが恩恵を受けたとしても、スト収束後はビッグ3の生産が戻り、販売競争が激しくなるとみられ「反動のリスクも踏まえる必要がある」(杉浦氏)との見方もある。
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