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コロナ禍をきっかけに火が付いた中国のライブコマースの成長が止まらない。2021年のライブコマース流通額は約48.7兆円にのぼり、2022年もさらに50%近い成長をすると見込まれている。中国ではライブコマースが店舗、ECに続く、重要な小売チャネルに育ってきているのだ。一方、米国や日本ではライブコマースはなかなか軌道に乗らないどころか、すでに撤退するケースも相次いでいる。なぜ、ライブコマースは中国では流行し、中国以外では受け入れられないのか。その背景には、ECの成熟度が大きく関わっている。
中国では引き続き成長中のライブコマース
中国のライブコマースが大きく成長している。網経社電子商務研究センターの統計によると、2021年のライブコマース流通総額は2兆3615.1億元(約48.7兆円)となり、2022年も50%近い成長が見込まれている。もはや、店舗、ECに続く、第3の小売チャネルとしての存在感が出てきている。
対照的に、中国以外の国ではライブコマースはまったく軌道に乗っていない。たとえば、メタはFacebookのライブショッピング機能「Facebook Live Shopping」を10月1日に
停止した 。アマゾンが米国でのみ展開している「Amazon Live」は続いているが、視聴者数が100人以下のものが多く、中には視聴者数1桁というものまである。低調というより、惨憺たるありさまという形容がしっくりくるほどだ。
なぜ、ライブコマースは中国では盛況であるのに、中国以外では流行らないのだろうか。
EC化率は頭打ち、消費者がライブコマースを選ぶ理由は?
先ほどのライブコマース流通総額の統計を、国家統計局の社会消費品小売総額、オンライン小売総額のデータにあてはめ、中国のEC化率を可視化してみた。すると、2021年のEC化率は29.7%、つまり10の商品のうち3つはECで買われていることになる。また、EC流通総額に占めるライブコマースの割合は18.0%となった。つまり、ECで買われる10の商品のうち、2つはライブコマース経由ということになる。
特に2020年から2021年の変化では、EC化率が頭打ちとなっているのに対して、ライブコマース率が上昇していることに注目してほしい。
後ほど説明 するが、これは重要なポイントだ。
ライブコマースを利用する消費者側の動機は極めて単純だ。ライブコマースでは同じ商品が破格の割引率で安く買えるのだ。半額は当たり前で、1/3ほどになることもある。
中国のウェブメディア「老高電商管理」が、2022年6月18日に行われたセールの子ども用品について、ECでの販売価格とライブコマースでの販売価格を調査し、割引率のランキングを発表している。それによると、コップの割引率は64.6%にも達した。1/3以下の価格で同じものが買えたのだ。
【次ページ】「安い」だけじゃない、ライブコマースで商品が飛ぶように売れる理由
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