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  • 2021/09/20

「みんな、インプットが好きですね」元アップル日本法人代表が“勉強をしない”理由

昨今、インターネット上にはさまざまな無料の学習コンテンツがあふれている。コロナ禍による通勤時間の減少や余暇時間の増加も受けて、社会人学習は大きなムーブメントになっていると言える。しかし、かつてアップル 米国本社副社長 兼 日本法人代表取締役だった前刀禎明氏は、「みんな、インプットが好きですよね」と語り、知識偏重に警鐘を鳴らす。ソニーやウォルト・ディズニーなど名だたる企業を経験し、『学び続ける知性 ワンダーラーニングでいこう』(日経BP)を著した同氏に、社会人の学びと成長について聞いた。

執筆:鈴木雅矩、編集:ビジネス+IT編集部 渡邉聡一郎

執筆:鈴木雅矩、編集:ビジネス+IT編集部 渡邉聡一郎

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元 アップル日本法人社長
リアルディア 代表取締役社長
前刀 禎明氏

ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー、AOLなどを経て、アップル米国本社副社長 兼 日本法人代表取締役に就任。独自のマーケティング手法で「iPod mini」を大ヒットに導き、スティーブ・ジョブズ氏に託された日本市場でアップルを復活させた。リアルディアを設立し、セルフ・イノベーション事業を展開している。最新アプリ「DEARWONDER」は、創造的知性を磨く革新的なラーニング・プラットフォーム。近著に『学び続ける知性 ワンダーラーニングでいこう』(日経BP)。

学びは日常から見つけ出すもの

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『学び続ける知性 ワンダーラーニングでいこう』
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──前刀さんにとって、学びで大切なのはどのようなことですか?

前刀氏:学びは自分が成長するための手段です。僕は成長意欲がとても貪欲で、自分のいる環境を必ずリセットするようにしています。ソニーから始まって、ディズニー、AOL(アメリカオンライン)、ベイン・アンド・カンパニーなど、いろいろな会社で仕事をしてきました。自分が慣れてきてこなせるようになったときにリセットして、まったく新しい領域でチャレンジをしていくというのが、僕にとっての学びです。

 子どものころを思い出してください。今までできなかったことができるようになったら、すごく嬉しかったですよね。いくつになっても「自分はこんなことができるようになったな」と感じること。これこそが学びの成果であり、成長なのです。

──具体的には、どんなものから学んでいるのでしょうか?

前刀氏:あらゆる機会や場所が学びの機会になります。実は、僕は本を読むのも勉強するのも苦手なんですよ。それよりも、この瞬間瞬間で起きることからどんどん吸収すること。決まったカリキュラムを勉強するということではなくて、あらゆることから学び取っていくという姿勢を僕は「ワンダーラーニング」と呼んでいます。たとえば、僕はプレゼンを体系的に勉強したことはありませんが、よく他人への伝え方をほめられます。これは、スティーブ・ジョブズのキーノートを目の前で見て、血肉としてきた成果だと思います。

 大切なのは、何事もよく観察して、自分で考えて答えを見つけていくことです。正解はなくていいんですよ。あらゆることに好奇心を持って、自分なりに仮説を立てています。何事にも固定観念を押し付けず、あらゆることから貪欲に学ぶ姿勢が、近著のタイトルでもある「学び続ける知性」です。

 例を挙げると、最近僕は公園の草花の色や形を観察して、Instagram(@the_wonder_learning)で投稿してます。それに対するフォロワーさんの視点も僕とまったく異なるので、新たな気づきを得ています。

 逆にやらないと決めていることは、無駄に知識を詰め込まないことと、人の話を聞き過ぎないことです。まずは自分で考えることが大切です。

やりたいこと探しはやめよう

──情報が多すぎて、自分が何をやりたいのか、そのために何を学ぶべきなのかわからないという方もいると思います。

前刀氏:まずは、やりたいこと探しはやめましょう(笑)。やりたいことは行動から生まれます。動いていると心が熱くなる経験をする。すると自分の好きなことや、やりたいことが認識できる。やりたいことは「見つけるもの」ではなく、「見つかるもの」と考えた方がいいでしょう。

 ただ、勘違いしてほしくないのは、最近よく聞く「自分らしく」「ありのままで」なんて言葉を受けて、何も努力しないことをよしとすること。そうではなくて、ロールモデルや型にはまらずに自分なりに成長することが、「自分らしく生きる」ことだと僕は思います。

 本当に「自分らしく」生きている人は、すごく自然にやりたいことをやっています。「自分なんて」と謙遜しませんし、変に肩ひじを張らず、自然体で意見を言えている。逆に自分らしく生きていない人は、言い訳ばかりで、「本当は〇〇したいんだよね」と言い続けている。それに、人の成功を受け入れられない人もその典型ですね。

 嫉妬はしても良いのです。それが前に進むエネルギーになりますから。ただ「悔しい」と思ったら、ほんの少しだけ、深く考えずに新しいことにチャレンジしてみましょう。一歩踏み出せば見える景色も変わってくるし、考え方も進化します。

 ただ、「失敗しても良い」と考えるのはダメです。やるときは必ず、成功したいと強く思ってください。すると、失敗が悔しくなる。悔しいと思えるから、そこから学ぶことができて、それを次のチャレンジに生かせるのです。

【次ページ】マーケターはデータに依存していてはダメ、では何を見るべきか

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