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文響社の「うんこドリル」シリーズは、漢字や算数など学習ドリルのすべての例文に「うんこ」を入れる、という奇想天外な商品。発売2カ月で270万部、累計840万部と異例の大ヒットとなったこの商品はどのように生まれたのか?そして爆発的なブームから4年、現在はどのような進化を遂げているのか。文響社の「うんこアンバサダー」石川文枝氏、「うんこ編集部」品田晃一氏に取材し、そのストーリーを図解に落とし込んだ。
日本に「うんこ」の市場ができた、そして世界へ
「うんこドリル」シリーズの初版は2017年3月発売。「うんこ」×「学習参考書」という意外性抜群の組み合わせは、Twitterを発端にネットで一気に拡散した。テレビや新聞などのマスメディアもこぞって取り上げ、「うんこ漢字ドリル」は発売2カ月で270万部という大ヒット商品となった。
小学生向けの漢字と算数を中心に、英語や夏休みドリル、未就学児向けの教材なども加わって、現在までにシリーズ累計117点。累計発行部数は840万部を越えた。
「『うんこ』の市場ができた」と石川氏が言うように、今ではどこの書店でも学習参考書コーナーの一角を占めている。「うんこドリル」はブームを越えて、学習ドリルの新定番になったのだ。
2021年6月には、未就学児・小学生の枠を飛び出し、「大学入試 うんこ英単語2000」を発売した。こちらもソーシャルメディアで話題となり、スタートの売れ行きは好調だ。2017年にブームになった際は「子どもはうんこが大好きだからウケた」という文脈で語られたが、高校生の心もつかむことが証明されそうだ。
それだけではない。「うんこ」は世界進出を果たし、近くフィンランド版が発売される予定。他複数の国で出版プロジェクトが進行している。「『うんこ』は普遍です!」と品田氏は胸を張る。
「うんこの面白さを世に出したい」というプロダクトアウト商品
奇想天外な「うんこドリル」の構想は、作家で映像ディレクターの古屋雄作氏がひたすら「うんこ」を詠んだ「うんこ川柳」が原点だ。古屋氏は文響社の山本周嗣社長の古い友人で、「これは面白い!」とふたりで書籍化を企画した。
しかし、冷静になると、川柳を誰に届けたら良いのか、イメージできない…。こちらから「面白いでしょう?」と差し出すだけでは社会に響かない、と考えた。そこで、かねて「勉強嫌いな子どもの学習支援がしたい」と考えていた山本社長が、学習ドリルでの「うんこ」の活用を提案した。
「うんこドリル」のはじまりは、「うんこのおもしろさを世に出したい!」という古屋氏の情熱、いわばプロダクトアウトの発想だ。それが、学習ドリルの新定番にまで進化したのは、「子どもの勉強嫌い」という課題に正面から向き合い、現実の解決策を提供しているからだ。
うんこ事業部には、多くのユーザーからの感想が寄せられている。
- 子どもが自ら机に向かうようになった
- 漢字自体に興味を持つようになった
- テストの点数が上がった
- 放課後の児童クラブで人気
- 親子で笑いながら学習できる
etc...
学習ドリルはどんなにおもしろくても、使ってみて学習に役立つものでなければ、次からは買ってもらえない。「うんこドリル」シリーズは、進級の度に購入するリピーターを確保。子どもの学習に悩むママ友の間で、勧められるケースも多いという。
【次ページ】絶妙なバランス感覚が「うんこ」をユーモアとして成立させる
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