- 2012/11/27 掲載
NEC・東洋熱工業・NSKら、データセンターモジュールを新開発、従来比6割削減
本データセンターモジュールは、独立行政法人科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業CRESTの採択テーマである「ULPユビキタスセンサのITシステム電力 最適化制御への応用」(研究代表者:産業技術総合研究所 前田龍太郎)のシステム実験グループとして取り組んだ共同研究の成果。
NECがICT機器製造の、東洋熱工業が空調エンジニアリングの、NECフィールディングとNSKがコンテナ型データセンターの製造販売の各ノウハウを活かし、サーバの動作情報や運用形態、サーバ室内の空気の流れや温度分布の変動メカニズムを明らかにすることで、ICT機器側と空調側の双方の特性や要求を融合したデータセンターモジュールの開発が可能となったという。
開発したデータセンターモジュールは、通常のコンテナ型データセンターで利用する輸送用コンテナを組み合わせて利用できるサイズとした。モジュール内に1列に並べたラックの吸気側のモジュール側面下部に外気を取り入れる外気流入口、外気流入口と反対側のモジュール側面上部にラックからの排気の流出口を設置。
流入口から取入れた外気とサーバの排熱を駆動力として利用し、さらにモジュール内での煙突効果を高めるよう排熱促進機構を設置することで、換気用のファンを用いない自然換気システムを構成し、サーバ室内の冷却・排熱を可能にしたという。
奥行きが6.0mのモジュールでは、1ラックあたり8kWまでのラックを6ラック設置することができる。
自然換気システムにおける外気利用の可能性を評価するため、日本各地の年間の気象データを用いて、ASHRAEの推奨温湿度範囲を満たせるかどうかを評価した。
現在の多くのデータセンターで用いられているASHRAEの推奨温湿度範囲(2004年版)を適用すると、日本のほとんどの地域で外気を利用可能な期間はわずかだという。
しかし、改定されたASHRAEの推奨温湿度範囲(2011年版 Class A1)を適用すると、東京で年間の26%、札幌で年間の14%の期間で外気を利用できるようになる。さらに、寒冷期に換気取り込み量を調整することにより、外気を利用可能な期間を東京で65%、札幌で62%まで拡大させることが期待できるという。
年間の空調エネルギーを試算したところ、換気用のファンを用いない自然換気システムを用いて換気取り込み量を調節する場合、従来のASHRAE(2004年版)の推奨温湿度範囲を満たすように空調システムを用いる場合に比べ、東京で約64%のエネルギー削減が可能になることがわかったという。
これに加え、換気用のファンを用いる機械換気を組み合わせることで、東京で70%、札幌で68%の期間で外気利用が可能になり、空調エネルギーをさらに削減することができるとしている。
今後4社は、建物条件や地域性を考慮したデータセンターの設計、データセンターを運用する企業のニーズや運用形態に応じたシステムを早期に提供できるよう、引き続きICT機器と空調システムとの連携による省電力化に取り組むとともに、自然エネルギーを最大限に活用する自然換気と機械換気・空調を組み合わせたハイブリッドシステムを2013年度内の完成を目指して開発していく考え。
また、コンテナ型データセンターだけではなく、大規模なデータセンターへの適用も視野に入れ、事業化に向けた開発を進めていくという。
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