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国立大学法人北海道大学の学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点である北海道大学情報基盤センターは、4月から構築してきた国内最大規模の学術クラウドシステム「北海道大学アカデミッククラウド」が完成したと発表した。全国の大学研究者向けに、11月1日からサービスの提供を開始する。
「北海道大学アカデミッククラウド」は、「学際大規模計算機システム」の一部として、170テラフロップスを超える演算性能を有するスーパーコンピュータシステムとともに運用されるもの。日立製作所が構築に携わった。
全国共同利用施設として、北大ならびに全国の大学研究者の学術用途にオンデマンドで利用できる仮想サーバや、複数の計算機をまとめたクラスタパッケージによるMPI(Message Passing Interface)環境、Hadoopなどの分散処理環境、オンラインストレージやブログなどの利用環境をクラウドの形態(IaaS/PaaS)で提供される。
具体的なサービスメニューとしては2種類を用意。1つは、OSやミドルウェアのほか、ブログやWikiなどの各種アプリケーションを含めて利用できるサービスで、冗長化構成により高い信頼性を実現している「ホスティングサーバ」。もう1つは、OSやミドルウェアなどを研究者の利用用途に応じて自由にカスタマイズし利用できるサービスで、冗長化構成を省き仮想サーバを安価に提供するとともに、クラスタ化を可能とした「プロジェクトサーバ」。
各サービスは、日立製作所のクラウドサービス「Harmonious Cloud」のプライベートクラウドソリューションを活用して構築した。ブレードサーバ「BladeSymphony」のハイエンドモデル「BS2000」114台を演算ノードに利用し、40テラフロップスを超える総合理論演算性能を実現。また仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform」(以下、「VFP」)やミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage2000シリーズ」をストレージシステムに採用し、760 テラバイト(TB)の実効総容量を備えている。
演算ノードとして利用されるブレードサーバの「BS2000」はインテル Xeon プロセッサー「E7-8870」を搭載。1演算ノードあたり128ギガバイト(GB)のメモリと10ギガビット(Gb)イーサネットのネットワークを内蔵しているため、システム全体で2000以上の仮想サーバを構築できるという。
利用者のデータを保存するストレージシステムでは、システム稼働中の性能調整を自動化する「ダイナミックロードバランスコントローラ」機能や、必要に応じたストレージ容量の割り当てを自動で行うボリューム容量仮想化機能「Hitachi Dynamic Provisioning」機能を活用し、クラウドサービスの設計と運用を簡易化している。
また、基盤ソフトウェアには、シトリックス・システムズ・ジャパンのサーバ仮想化ソフトの「Citrix XenServer」やクラウド管理ミドルウェア「CloudStack」を利用し、ポータルサイトを通じたサービス環境の申請、管理、運用を実現している。
「北海道大学アカデミッククラウド」とあわせてサービス提供を開始するスーパーコンピュータシステムは、POWER7プロセッサーを搭載した日立のスーパーテクニカルサーバ「SR16000モデル M1」を利用し、170テラフロップスを超える演算性能を実現。クラウドサービスの利用者は、本スーパーコンピュータシステムの利用も可能となるという。
「北海道大学アカデミッククラウド」は、全国の大学研究者の学術用途ならびに研究支援を目的として提供し、利用希望者は、情報基盤センターのポータルページから利用申請をすることで、研究に必要な仮想サーバの利用を始められる。
本サービスを利用することで、利用者自身がサーバやストレージを設置・構築することに比べ短時間で必要な環境を用意できる。
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