- 2011/10/07 掲載
新たなITを実現するクラウド ──3.11などの「想定外」にも備えるシステムは?
震災や電力不足などの"想定外"に備える柔軟性をクラウドで実現
サーバ仮想化は分身の術! 森下千里氏と@IT 編集長 三木泉氏との
わかりやすい対談からスタート
クラウドの活用によって広がるビジネスの可能性や、クラウドを支えるテクノロジーについても言及。三木氏が「サーバ仮想化はバーチャルな森下さんをたくさん作るようなものです」と説明すると、森下氏が「分身の術みたいなものですね」と対応。テレビと同様にわかりやすい表現で参加者の注意を引きつけていた。ちなみに両名は、10月12日~14日に行われる 【EMC FORUM 2011】 においても、スペシャルゲストとしてトークショーを行う予定だ。
基調講演に続けて行われたのが、NECとEMCジャパンによる2つのセッションだった。以降では、この2つのセッションの内容をレポートしよう。
3.11でNECがとった災害対応
まずは、3.11の東日本大震災直後、NECがとった対応について説明した。3月11日14時46分の地震発生から、わずか9分後の14時55分には社長を本部長とする災害対策本部を設置し、事前に策定してあったBCPに従って事業復旧をスタートさせたという。
その結果、サプライチェーンや工場、倉庫などの設備は比較的早期に復旧できたが、それを支える電力の復旧には苦労したと説明し、今後の電力対策について次のように強調した。
「これまではエネルギー対策とBCPは別々にやっていました。たとえば、省エネは総務部や法務部、BCPは情報システム部が担当していたのですが、今後は両方を合わせる必要があります。そこで必要になるのがクラウドです。クラウドのテクノロジーを利用して節電、創エネ、蓄エネを実現し、事業継続の下支えをしていかなければならないと実感しました」(井上氏)
実際に役立ったソリューション
また、震災時に役に立ったソリューションとして、メッセンジャーによるプレゼンスとチャット、インターネットを使った内線ソリューション、会議システムなどが紹介された。中でも特に役立ったとしてシンクライアントを紹介。もともとは新型インフルエンザのパンデミック対策で導入していたシンクライアントを活用することで、自宅でも通常と変わらない業務を継続できたという。クラウドへの特徴は運用にある
セッション後半では、NECのクラウドへの取り組みと具体的な製品・ソリューションの詳細が語られた。まず、NECとしては、ブライベートクラウドの適用技術を強化してユーザー企業のシステムクラウド化の支援をしていきたいと語った。パブリッククラウドの領域でも、従来のベストエフォート型ではなく、SLA保証型のクラウドを提供していくと説明。また、クラウドシステムの特徴は運用であるとして、次のように述べた。「クラウドシステムは構築までは通常のシステムとそれほど変わりません。大きく異なるのは運用フェーズです。運用に入ってから、新しいシステムを追加したり作り替えたりということが頻繁に行われますので、運用が非常に複雑になります。そこをいかに効率的に行うかがポイントですので、そのための製品群もご提供していきます」(井上氏)
セッション最後では、改めて電力問題に言及。「これまでは、成長すれば消費電力は伸びるのが常識でしたが、これからは会社が成長するためには、消費電力を削減し続けなければなりません」と述べ、NECの省電力製品が紹介された。
たとえば、従来よりも+5℃の40℃の温度に耐えられるサーバを利用すればサーバルームの温度を高く設定することで、大きな節電効果が期待できることなどが紹介され、参加者の注目を集めていた。
サーバ統合とともに必要になる「ストレージの統合」
「調査会社のデータによると、IT予算の7割はシステムのメンテナンスに使われています。最大の原因は、企業内のシステムが統一感のないスパゲティ状になっていることです。こうした複雑なシステムを改善するテクノロジーとしてクラウドが注目されているわけですが、そこで重要なことは、システムを垂直に見るのではなく横断的に見ていって、情報管理のあり方、アプリケーション管理のフレームワーク、ITインフラのフレームワークを見直すことです」(中野氏)
その際に重要になるのが、サーバ仮想化によるサーバ統合であると説明。さらに、サーバとともに「ストレージの統合」も必要であると強調し、サーバ統合とストレージ統合による共通基盤を構築することによって、情報セキュリティや災害対策に対しても統一的なアプローチが可能になると説明した。
EMCが提供する最新のストレージテクノロジーの数々
セッション後半では、ストレージ統合を実現するEMCのテクノロジーとして「自動階層化」や「シンプロビジョニング」などの詳細が説明された。「自動階層化」は、性質の異なるストレージを自動的に組み合わせて最適化する機能だ。具体的には、高速だが容量単価の高いフラッシュドライブ(SSD)、低速だが容量単価の安いSATAのハードディスク、その中間的なファイバーチャネルの3つを自動的に組み合わせ、パフォーマンスの最適化を図る。従来、人間による深い知識と経験が必要だったこれらの処理を、自動階層化により自動化することで、性能・容量・運用を最適化できることが説明された。
「シンプロビジョニング」は、サーバに対して自身が持っている以上の容量を持っているように見せかけて、ストレージの無駄を減らす技術だ。その導入効果について中野氏は、三菱東京UFJ銀行のコメントを引用。
「実際に利用いただいている三菱東京UFJ銀行様も、『従来型のLUN単位の割り当てだと、実際に有効に使われている領域はストレージ・プール全体の1/3程度だが、シンプロビジョニングを利用すると、こうした無駄を大幅に減らせる。わざわざLUNや論理ボリュームを切ったり、グループ毎に分けたりといった業務上のオーバーヘッドも不要になった』と、非常に満足いただけました」(中野氏)
また、運用管理における仮想化との連携についても言及。サーバを仮想化すると仮想サーバの拡張や移動が頻繁に行われるため、ストレージに対しても柔軟な運用が要求されると説明し、VMwareやHyper-Vの管理ツールからストレージを管理できるプラグインが紹介された。
このほかにも、ストレージのレプリケーション機能による災害対策など、数々のテクノロジーが紹介され、EMCのストレージ製品が世界中で高い評価を得ている技術的背景が語られた。
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