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- 2011/02/21 掲載
【戦略的マーケティング/第12回】時とマーケティング ~時間やタイミングが購買行動に与える影響は?~
早稲田大学 商学学術院長 兼 商学部長 恩藏直人氏
時間圧力
マーケティングにおける「時」の課題として、まず注目すべきなのは時間圧力である。購買行動をとる際の切迫感によって、我々の行動基準や行動内容は大きく異なりそうである。たとえば、じっくりと時間をかけて選んだネクタイと短時間で選んだネクタイでは異なる品を取り上げるかもしれない。もちろん、時間圧力を感じているからといって、常に劣った結果に至るというわけではない。時間圧力に関する興味深い研究に、製品特徴の想起に注目したDhar andNowlis(1999)がある。彼らは、バケーションのユニークな特徴3つと一般的な特徴3つを231名の大学生に示し、一定時間の後に想起してもらうという実験を試みている。その際、提示時間に圧力を与えたグループと圧力を与えないグループにわけてみた。すると、圧力下にあるグループでは、ユニークな特徴を平均で1.3、一般的な特徴を平均で0.6想起している。一方、圧力下にないグループでは、ユニークな特徴を平均で1.4、一般的な特徴を平均で1.1想起している。2つのグループにおける違いは一般的な特徴の想起にあり、時間圧力がないとユニークな特徴に加えて一般的な特徴で製品を判断し、逆に、時間圧力が加わるとユニークな特徴に絞って情報処理が行われている。
我が国でも安藤(2007)は、注文住宅を素材とした分析によって、時間圧力下にある消費者は住宅購入における検討項目数が減少することを明らかにしている。急いで住宅を購入する必要があった消費者は、「自然環境がよい」「建築施行がしっかりしている」「駅やバス停に近い」「会社の知名度がある」「営業マンの対応がよい」など、平均で4.3の項目を検討しているのに対して、急いで購入する必要がなかった消費者の平均検討項目数は5.7であった。
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