- 2007/03/16 掲載
【日立金属事例】日立金属における管理会計Dashboardの導入事例
日立金属は、2006年現在でグループ連結の売上高が約6000億、子会社と関連会社合計で117社を抱える開発型の素材・部品メーカーだ。従来の工場を中心にした経営から、子会社を含めたカンパニー制へとシフトしており、国内だけでなく海外にも多数の生産・販売拠点を持っている。このような状況において内外の経営環境の変化は大きく、さまざまなニーズが出てきた。さらに2006年度からは中期経営計画がスタートしており、情報基盤整備の必要性が高まっている。そこでグループ全体で会社経営情報をタイムリーに共有し、グループ連結経営をグローバルで展開するため、経営ダッシュボードを使用した経営情報システムを導入することとなった。
マネージャー 中嶋 功 氏 この記事の内容は ストリーミングでも視聴できます。 |
プロジェクトの導入は約5ヶ月と短期間で済んだという。これは「連結Quick Start Package」のテンプレートを利用したこと、1週間単位でのプロトタイピング方式を採用したことが大きい。プロトタイピング方式では、ユーザーと実際の画面を見ながらディスカッションを繰り返すことで、メンバーの理解を促進しながら、要望を確実に拾いあげていくことができた。プロトタイピングからディスカッション、評価、再調整・再検討のサイクルを1週間単位で繰り返すことで、KPIの定義、ダッシュボード・レポートの設計、データウェアハウスの設計を三位一体で構築したことが重要だったいえる。
ソリューションデザインに関しては、トップマネジメントが必要とする情報をダッシュボードで共有できる仕組みと、すべてのユーザーがグループやカンパニーの業績を同一画面で確認できるインタフェースを採用した。また継続的なモニタリングを可能にするため、比較データを常に表示できるダッシュボード・レポートの構成や、中期経営計画の推進に必要な多様なデータの取り込み、外国人幹部に対応する形での英語表記の採用、PDF印刷やExcelファイルでの2次利用が可能なデータ提供といった点に重きを置いている。
またデータモデルに関しても、トップマネジメントやミドルマネジメントの要求に応えるため、予算比較や中期計画比較などの比較データを常に表示すること、ユーザー各層に適切なデータを提供することに加え、ストレスのないレスポンスというニーズがあった。そこでデータレコードの横持ちやデータマートの共有、指標を選択するだけで必要なデータを引き出せる機能などを盛り込みレスポンスアップを図りつつ、ユーザーの活用を考えた設計にしている。その結果、開発・利用・保守の3面でもベネフィットを提供できることとなった。
わかりやすく提供するダッシュボード
システムの全体概要は、一般的なBI(Business Intelligence)とそれほど変わらない。連結会計データや一般会計データ、そしてマスター情報をSTRAVISやGLOVIAから取得し、さらに新製品の売上高データ、所在地/仕向地別の海外売上といった部分に関してもOracleデータベースに蓄積していく。そして目的別のデータマートを作成し、最終的にWebブラウザを介したダッシュボードや経営情報レポートとして出力できるようにしている。
ダッシュボードのメニュー構成にもいろいろな工夫を加えている。グループ連結から、個社・工場へのブレークダウンと、KPIから主要財務データへのブレークダウンという縦横の軸でメニューを構成することで、必要なレポートがすばやく引き出せるようになっている。レポートに関してはダッシュボードを中心に、サマリーレポートとディテールレポート、そしてユーザーが自由に作成できるフリーレポートの3体系を用意。ダッシュボードの画面では、温度計や速度計のような計器で重要な項目を迅速に確認できるのに加え、画面の項目をクリックするだけで細かい情報が確認できる詳細画面が表示される仕組みだ。
ダッシュボードの導入効果は、各ユーザー層にまで及ぶ。まずトップマネジメントは、グループの連結データ、カンパニーデータをサマリー形式で閲覧することで、財務的な分析結果を迅速に見ることができ、経営判断のスピードアップが図れるようになる。さらにWebベースで利用するために、コーポレート関係者と同じデータを共有できるという利点がある。次にコーポレート関係者は、経営会議用の資料や連結決算用の資料をデータウェアハウスに蓄積することで作業負荷を軽減できる。そしてカンパニーの関係者は、責任と権限に基づいて提供されるデータとレポートを自由に閲覧し、分析に利用できる。と同時にほかの事業のサマリーデータを見ることもできるので、グループ内での位置付けを把握するのに役立っている。
今回のプロジェクトの効果について、日立金属 コーポレートビジネスセンター 財務部部長の児野祐氏は、「従来は、一部の経営層に限定された情報を提供するのみだったが、今後は、様々なレイヤーを対象に広い範囲でタ イムリーに会社経営情報を共有し、問題点の早期把握が可能になった。今回のシステムは、セキュリティを確保しつつ、必要な情報をグラフィカルで分かりやすく提供できるようになった」という利点をあげている。
※当記事は(2006年11月28日に行われた)日本ビジネスオブジェクツ主催、『The Power of Business Intelligence』で行われた事例講演をもとに作成したものです。
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