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- 2009/08/31 掲載
CIOが5分で分かるIFRS(国際会計基準)のポイント、そもそも何?からシステムへの対応まで
1分 | IFRSとは何か |
2分 | 日本での動き |
3分 | IFRSと日本基準の違い |
4分 | 日本企業のIFRS適用アプローチ手法 |
5分 | IFRS対応システムの実現方法 |
国際的に統一された会計基準は以前より必要とされていた。というのも、日本企業の業績を表す損益計算書(P/L)と欧州企業の業績を表すもの(包括利益計算書などと呼ばれる)は、直接的に比較できない。それではグローバルマネーを扱う投資家は不便極まりない。統一された会計基準が導入されれば、国をまたいだ比較・分析が容易になるのである。
また、海外拠点を数多く抱える企業にとっても、拠点ごとに各国基準に準拠した財務諸表を作成、提出することは大きな負荷になっている。もし、各国で会計基準が統一されれば、こうした企業の決算業務効率が向上する。
1.国際的に統一された基準で国をまたいだ比較・分析が容易に
2.海外事業を展開している企業の決算業務効率が向上
このようなメリットから、IFRS導入の必要性が叫ばれていたわけだが、各国の思惑もあって、なかなか普及しなかった。こうした中、2002年にIASBと米国財務会計基準審議会(FASB)が、両基準を将来的に統合することで合意(ノーウォーク合意)した。EUは、2005年から上場企業にIFRSを強制適用した。さらに、それに続くように、オーストラリア、カナダ、韓国などの先進国が採用方針を表明。米国は2008年11月14日に、米国企業にIFRSの適用を求めるロードマップ草案(SECロードマップ案)を公表し、2014年からの段階適用を表明している。
日本でも、東京証券取引所において外国人投資家の存在感は大きいものの、外国人投資家が日本基準に基づく財務諸表で投資判断をしなければならない現在の状況は、投資意欲の減退を招いている可能性がある。そうした背景もあって、2005年からIFRSへの対応を進めており、2007年には日本の会計基準を決める企業会計基準委員会(ASBJ)がIASBと「東京合意」を結んだ。
さらに2009年6月30日には金融庁の企業会計審議会が「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」を発表。同審議会の発表では、強制適用年として米国から1年遅れとなる2015年または2016年と設定された。ただ2015年といっても、2015年3月期か2015年度(2016年3月期)なのか意見が分かれている状況で、2012年に明らかになる。また、対象となる企業にIFRSを一斉適用するか、それとも段階適用するのかは未定だが、少なくともIFRS適用初年度の適用対象企業は「上場企業」となる予定。さらに連結財務諸表のみが対象になると見込まれる。
・強制適用は2015年か2016年
・2009年度から任意適用
・上場企業の連結財務諸表が対象
・個別財務諸表の扱いは検討中
日本の会計基準を国際的な会計基準にするには、大きく分けて2つのアプローチがある。1つはコンバージェンスと呼ばれ、少しずつ自国の基準をIFRSに近づけるというもの。もう1つはアダプションと呼ばれ、日本の会計基準をやめてIFRSに乗り換える方法だ。
日本では、すでにコンバージェンスが進められており、早ければ2015年にはアダプションも実施されると想定されている。ただし、日本企業がどのような対応をとるべきかについては未知な部分も多い。というのも、コンバージェンスによって日本の会計基準の改訂が続いているからだ。IFRSが原則主義を採用していることも課題の1つだ。原則主義が何かについては後述する。
このような中で、金融庁の発表した中間報告では、2010年3月期の年度の財務諸表からIFRSの任意適用を認めることが適当であるとしており、この任意適用の初年度では、企業は2つの連結財務諸表を作成することになる。1つはIFRS準拠のもの、もう1つが日本基準のもの。なお、IFRSを適用した場合は「遡及適用」と呼ばれる処理が必要になる。これにより、2010年3月期の年度の財務諸表からIFRSに準拠した場合でも、それ以降にIFRSに準拠した場合でも、基本的には結果が同じとなる。
>>IFRS対応システムの実現方法
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