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  • 2009/06/09 掲載

ヴイエムウェア 社長 三木泰雄氏インタビュー「中小企業からモバイルまで仮想化の波は止まらない」

【仮想化新潮流(3)】

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世界的な不況が続く中、コスト削減や運用管理の省力化、システムの柔軟性・俊敏性向上を実現し、ITシステムを革新するキーテクノロジーとして「仮想化」への期待は高まる一方である。奇しくも、仮想化市場のリーダーであるVMware社より、クラウドに対応した仮想化プラットフォームの最新版「VMware vSphere 4」がリリースされた。今後、仮想化市場はどこに向かうのか? ヴイエムウェア 代表取締役社長 三木泰雄氏に伺った。

仮想化はクラウド実現に不可欠なテクノロジー

ヴイエムウェア 代表取締役社長 三木泰雄 氏

ヴイエムウェア
代表取締役社長
三木泰雄 氏


──現在の仮想化の流れについて、どうとらえていますか。

 一般的には、仮想化は「1つのハードウェアに仮想レイヤーを作って複数のアプリケーションを動かすこと」と理解されていると思いますが、より本質的には、ITインフラの効率と信頼性を高め、運用を省力化することで、現在のITインフラを変革するソフトウェア基盤であるととらえています。

──仮想化とクラウドの関係についてはどうでしょうか。

 「クラウド」を構成する最も重要な基盤技術が仮想化です。我々は「クラウド」には「プライベートクラウド」と「パブリッククラウド」の2つがあると考えています。パブリッククラウドは、AmazonやGoogleが提供しているクラウドですね。一方、我々が注力しているのは「プライベートクラウド」です。

 企業システムには、パッケージだけでなく自社開発したシステムも含まれますが、それらをすべて含めてクラウド形態で使えるようにするのが「プライベートクラウド」です。それには、いま動いているアプリケーションがどこでも動く環境を作らなければなりませんが、そのためにアプリケーションを書き換えると大変な労力がかかります。しかし、「仮想化」を利用すれは、こうした労力をかけることなくプライベートクラウドを実現できるのです。

──企業にとって、仮想化のテクノロジーを使ってプライベートクラウドを構築するメリットは何でしょうか。

 業務システムを開発するとき、これまでは開発する業務システムを前提に、ハードウェアなどのインフラを準備していたため、アプリケーションとハードウェアが1対1で対応していました。しかし、これだと新しいアプリケーションを導入するためにハードウェアを入れ替えたり、新しいハードウェアに合わせてアプリケーションを開発し直したりといったムダが発生してしまいます。

 しかし、プライベートクラウドを構築すると、ハードウェアとアプリケーションを分離できるため、システムに必要なインフラを低コストで柔軟に用意できるようになります。さらに、必要に応じてデータセンターなどの外部リソースを活用することも可能です。これにより、通常は社内リソースだけを利用し、ピーク時には外部リソースを利用するといった柔軟な運用が可能となるのです。

──プライベートクラウドを構築するには、どのようなステップがありますか。

 最初は限定された環境、たとえば特定の部門内で構築し、横展開していくのが一般的だと思います。規模が大きくなるにしたがって、運用管理や負荷分散を自動化する機能を導入したり、統合率を高めていったりして、徐々にクラウド環境に移行していくことになります。

年々進化・拡大する仮想化市場、中小企業も視野に

──仮想化の市場には、多くのベンダーが参入し、競争が激化していると思います。市場の現状と今後については、どう考えていますか。

 仮想化市場は、けっして固定化しているわけではありません。仮想化の目的・用途そのものが年々進化していると思います。当初はハイパーバイザーによる仮想化で、複数のアプリケーションを動作させることが大きな目的でしたが、やがて複数のマシンでの運用が求められるようになり、さらに現在はクラウドへの対応が求められるというように、仮想化市場がどんどん進化しているのです。我々は、こうした進化に対応する製品・テクノロジーを開発・提供するとともに、市場の進化を引っ張っていく立場にあると考えています。

──先日、発表された仮想化プラットフォームの最新版「VMware vSphere 4」では、市場のどのようなニーズに対応されたのですか。

 お客様が仮想化に求められるものも、年々進化しています。特に最近は、サーバを統合する際の初期投資、運用コスト、電力コストを抑えたいという要望が強くなっています。そのため、統合率の30%アップ、ストレージ容量の50%削減、消費電力の20%削減などを実現し、こうした要望にこたえました。また、従来は個々の仮想マシンごとにセキュリティ対策を行う必要があったのを、サーバ単位で対策できる仕組みを導入するなど、運用を効率化する機能を数多く搭載しています。
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